内容説明
長年にわたる内乱でイングランドは疲弊していた。だがようやくその大混乱のなかにも明るい兆しが見えはじめていた。コヴェントリーの地で和平会議がもたれることになったのだ。カドフェルはその会議への出席の許可を修道院長に申し出た。だが真の目的は、捕虜として囚われの身となっている我が息子オリヴィエの行方を捜しだし、救出することにあった。しかしそれはまた、背教者となることも決意したうえでのことだった…。シリーズ最終巻。
著者等紹介
ピーターズ,エリス[ピーターズ,エリス][Peters,Ellis]
1913年9月28日、英国シュロップシャー州ホースヘイに生まれる。’33年から’40年までの7年間は化学者の助手・薬剤師として働き、第2次世界大戦では海軍婦人部隊に従軍。’36年に歴史短編小説を発表して、作家デビューを飾る。以後25年間に20冊以上の歴史小説を本名のイーディス・パージターで刊行する。’59年からエリス・ピーターズ名義で推理小説を書き始める。’81年にイギリス推理作家協会のシルヴァー・ダガー賞、’94年には大英勲章O.B.E.を授与される。翌’95年10月14日死去、享年82であった
岡達子[オカタツコ]
北海道に生まれる。東京外国語大学英米科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
116
シリーズ最終巻の20作目です。よくこの巻まで読み続けられたという感じです。読メの皆さんのおかげだと思います。この巻は推理やミステリーという範疇からは外れてカドフェル自身のことにかかわる冒険ものという感じです。二組の親子の問題などが書かれて最後は、ということですがこのシリーズの掉尾を飾るにふさわしいものがたりとなっています。あとは短編集です。それとほかの巻で参考図書になっていた「中世の奇蹟と幻想」を読むだけです。2016/07/08
真理そら
46
再読。シリーズ第20弾。作者逝去のためこれが最終長編になった。粘り強さのない国王スティーブンと我の強い女帝モードの果てしない意地の張り合いで両陣営での寝返りや忠誠が悲劇を起こす。カドフェルは息子オリヴィエがどこかで捕虜になっていると知って背教者になる覚悟で探しに行く。父グロスター伯に反発するフィリップ、カドフェルが父であることを初めて知るオリヴィエがそれぞれ父と対面する場面は感動的。大好きな修道院での日常が描かれていないけれど好きな巻だ。2019/12/20
夜の女王
20
シリーズ最終巻(短編は別)。和平交渉会議にかこつけて、捕虜になり行方不明の息子を探しにでるカドフェル。タイトルの”背教者”という言葉から、カドフェルがどんな悪いことをしたのだろう?と、興味津々だったが、何のことはない勝手に世俗を旅したことだけ(笑)。修道士は一生修道院に居るというのが修道誓約。キリスト教徒でさえない極東の日本人にはその辺の後ろめたさがピンと来ないのは仕方ないか。今まで名前でしか出て来なかった女帝モード初登場。イギリスの受難はまだ続くが、カドフェルは心の平安を得てハッピーエンド?2018/09/08
中島直人
9
(図書館)ミステリー謎解きについては、あっさりと、あれって感じでしたが、ストーリーは最高に面白い。シリーズ最高といっても良いのでは。カドフェルさん、本当に良い人生でしたね。2019/08/10
きりぱい
9
面白かった。もう中盤から涙。涙。前巻から何だかカドフェルは修道院の中で収まるとは思えない雰囲気を醸し出していたけれど、背教者ときた日にゃ!もうヒューとの旅立ちにドキドキ。期限に戻れず、たとえ背教者と呼ばれることになっても発たずにはいられないカドフェルの心情。これまで主に背景だった王と女帝も表舞台に出てくるし、渦中のある人物と相まみえたり、カドフェルの活躍のフィールドが段違いに豪華。決死の覚悟のカドフェル、ああ、父と子、そしてもうひと組の父と子、そういえば母と息子もいたな。あーほんとに終わってしまったー。2013/11/03
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