内容説明
ホーモンドにある修道院との間で土地交換が行われ、新たにシュルーズベリ修道院の所有地となった畑地で、朽ちかけた布にくるまれた女性の白骨化した死体が発見された。開墾のため土を耕そうとしたとき偶然にも掘り返してしまったのだ。身元を証明するものはいっさいなく、奇妙なことにその手には十字架が握らされていた。真相究明を命じられたカドフェルのまえに次々と浮かぶ謎…そして意想外の結末とは。
著者等紹介
ピーターズ,エリス[ピーターズ,エリス][Peters,Ellis]
1913年9月28日、英国シュロップシャー州ホースヘイに3人兄弟の末っ子として生まれる。’33年から’40年までの7年間は化学者の助手・薬剤師として働き、第2次世界大戦では海軍婦人部隊に従軍。’36年に歴史短編小説を発表して、作家デビューを飾る。以後25年間に20冊以上の歴史小説を本名のイーディス・パージターで刊行する。’59年からエリス・ピーターズ名義で推理小説を書き始める。’81年にイギリス推理作家協会のシルヴァー・ダガー賞、’94年には大英薫章O.B.E.を授与される。翌’95年10月14日死去、享年82であった
大出健[オオイデケン]
1942年生まれ。カドフェル・シリーズなどを訳す。デジタル書店「グーテンベルク21」主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
103
これも結構ミステリーらしさがかなりある作品だと思いました。修道院の土地を交換して、そこから白骨死体が出てきます。長い黒髪とともに。その死体は誰なのか?どうしてそこに埋められたのか?ミステリーらしく結構伏線があったりするのですが。作者お得意の結構男女関係が絡んだりしていて複雑な様相を呈しますが、いつもの通り解決されます。楽しめました。2016/07/01
夜の女王
14
シリーズ⑰ 修道院が新たに手に入れた畑で女性の死体が発見された!彼女は誰なのか?どういう経緯でここに葬られたのか?最初は、この土地の借地人だった修道士のルアルドが妻を殺して埋めたと疑われるがアリバイがあった。死体の正体も二転三転。途中の紆余曲折がまどろっこしかったが、ラスト数十ページのあっと驚く種明かしが面白くて帳消し。謎解きより、男が修道院に入るとその妻は再婚できないという当時の不条理に目が行く。女が一人で生きていくことの困難な時代に、何と無責任な!逆の場合はどうだったのだろう?気になる。2018/08/11
きりぱい
6
小説版の聖書を読んだばかりなのに、院長が言葉にするまで、タイトルがユダの裏切りの話からきていることに気付かなかったー。そんなこんなで早くも不吉の兆し。案の定、開墾を始めたところ、黒髪だけを残す白骨死体が掘り起こされる。陶工の夫が突然修道士になり、残され行方知れずになっていたウェールズ人の妻かと目され、まさに異邦人の墓地?・・で、この調査がなかなかてこずる。殺されたのは本当は誰なのか?誰が殺したのか?それを超えた真相が待っていた。女って怖いと思いつつ、思い切った覚悟に変に感心したりも。2013/08/05
Saiid al-Halawi
6
ユダがキリストを売って得た銀貨で購われたのが陶器師の畑らしい。これは解説から読むべき。そして今回も面白い。2012/11/09
ミグ
4
とても面白い結末を迎える。当時白骨死体が出たとしても化学的捜査はないのだから解決に困難を極めるのは当然である。しかし最後「犯罪ならヒューの管轄であり、罪なら修道院長の管轄だった。だからこれら二つが解きがたく絡み合ったこの場合に正義はどこにあるのだろう?」カドフェルもかなり困った事件だった。2017/06/09