内容説明
“聖戦の時は満ちたり!敵を殱滅せよ!”地下抵抗組織〈百合〉を率いる謎の女。神託を下す彼女の身には、預言者マホメッドの子が宿っているという…。―ハーンを指導者とする反政府ゲリラの勇猛果敢な抵抗、思想教育に送り込まれたロシア人女性ポーラの数奇な運命、その夫ヤクーシェフ大佐の野望、紛争を取材するイギリス人カメラマンの心の葛藤…。ソ連軍侵攻直後のアフガニスタンを舞台に展開する感動のスペクタル巨編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
110
この小説が書かれた頃のアフガンは、ソ連との戦いで同情の対象だったが、911以後悪の代表のような印象になって、我々がアフガンを見る目は変わってしまった。でも、作品としては普通に面白かった。娯楽として読むにはカタルシスが足りない。ハーンが捕まってから脱出するまでにページを使いすぎたと思う。だがアフガンの様子は良く解った。ソ連軍とアフガンゲリラの戦いは迫力がある。こんな小説が埋もれてしまうのは、まったくもったいない話だ。ラストは悲しいが希望のある終わりでもある。2016/02/29