内容説明
心優しく美しい少年セドリックは、ニューヨークで母親と暮らしていたが、七歳のある日、自分が英国の貴族ドリンコート伯爵の唯一の跡継ぎフォントルロイ卿であることを知らされる。渡英して祖父の住む城で教育を受けることになるが…。読みやすい新訳と壮麗な挿絵で蘇る不朽の名作。
著者等紹介
バーネット,フランシス・ホジソン[バーネット,フランシスホジソン] [Burnett,Frances Hodgson]
1849‐1924。アメリカの小説家、劇作家。イギリスに生まれたが、早くに父親を亡くし、16歳のとき一家でテネシー州へ移住。貧しい家計を助けるため、雑誌に寄稿した小説が人気に。1886年発表の『小公子』が大ヒットし、主人公のファッションが大人の間で流行するなど、一躍ベストセラー作家となる。イギリスの伝統社会の価値観と、アメリカの大量消費文化を併せ持つ作家として、その後も『小公女』『秘密の花園』などを発表する
土屋京子[ツチヤキョウコ]
1956年生まれ。東京大学教養学部卒。翻訳家。訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
56
セドリックが周囲の人々の空気を変えていくのが心地良かったです。誰にでも愛情を抱くことができるセドリックだからこそ、関わった人々の心が穏やかになるのですね。名作です。2023/06/20
kagetrasama-aoi(葵・橘)
44
色々な翻訳者さんの読み比べ。光文社古典新訳文庫は土屋京子氏の翻訳。後書がとても素晴らしいです。川端康成氏の翻訳にも言及されていて、日本における“小公子”の歴史が良くわかります。あと、“Dearest”の意味、訳語の苦心が偲ばれます。幼い頃から親しんだこの“小公子”、心があたたかくなる物語です。2022/03/11
kagetrasama-aoi(葵・橘)
40
「小公子」突然、子供の頃読んだ名作を読みたくなりました。その第三弾です。人間の善が感じられるお話。大好きです。セディのお母さんへの呼び方が素敵です。翻訳者によって色々と工夫さるていますが、私はこの古典新訳文庫の “最愛のきみ” が一番好きです。初版に近い頃の挿絵も収録されていて、当時の衣装・風俗が垣間見られてとても素敵な本になっています。2024/11/16
たぬ
38
☆3 いや読みやすかったしそれなりに面白かったんだけどさ。才色兼備の男児が気難しい祖父の心を溶かしていくことや新勢力の出現などなど展開が皆想定内で。新勢力にしても残りのページ数からして派手な展開にはならず収束することは予想できたし。でも訳者あとがきで希望の光が差し込みました。川端康成訳も存在してるんだね。読みたい。2021/09/30
K
18
バーネットの作品は初めて読んだ。率直に言って、かなり面白かった。典型的な「物語」な感も否めなかったが、それだけに終わらない特徴が二つあった。一つ目は、主人公の本質はあまり変化しないということ。単なる成長物語ではなく、周りへ影響を与えるという点が興味深かった。二つ目は、(これは解説を読んでなるほどと思ったのだが、)アメリカとイギリスの交流を表しているという点だった。よって、含蓄を楽しむということにかけて、子供だけでなく大人も十分に楽しめるようになっている。『小公女』『秘密の花園』もいずれ読んでみたい。2021/05/10