内容説明
「将来」「既往」「瞬視」という新しい時間概念を提示し、“死に臨む存在”としての現存在の存在を考察した第7巻を受けて、この最終巻ではもう一方の「誕生」(始まり)から、そして歴史性との関連から、“現存在”が存在する根源的な時間を明らかにする。(第2篇第6章第83節まで)
目次
第1部 時間性に基づいた現存在の解釈と、存在への問いの超越論的な地平としての時間の解明(現存在と時間性(時間性と歴史性;時間性と、通俗的な時間概念の起源としての時間内部性))
著者等紹介
ハイデガー,マルティン[ハイデガー,マルティン] [Heidegger,Martin]
1889‐1976。ドイツの哲学者。フライブルク大学で哲学を学び、フッサールの現象学に大きな影響を受ける。1923年マールブルク大学教授となり、’27年『存在と時間』を刊行。当時の哲学界に大きな衝撃を与えた。翌’28年フライブルク大学に戻り、フッサール後任の正教授となる。ナチス台頭期の’33年に学長に選任されるも1年で辞職。この時期の学長としての活動が、第二次大戦直後から多くの批判をうける。大戦後は一時的に教授活動を禁止された。’51年に復職、その後86歳で死去するまで旺盛な活動を続けた
中山元[ナカヤマゲン]
1949年生まれ。哲学者、翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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イシカミハサミ
10
1巻を読み始めてどれくらい経ったか。 ようやっと読了。 なんせ内容は難しいので理解があっているかはあんまり自信がないのだけれど、 人間と人間以外を分けるのは時間を持つかどうかで、 産まれてから死ぬまでの間を生きるのが人間で、 産まれから死までを瞬間の連続で生きるのが人間以外。 確かに歴史を持つのは人間だけ。 明日の朝が早いからと早く寝るのも人間だけ。 走っている車の前に立つと危ないと分かるのも人間だけ。 感覚的に了解しやすい。2022/12/20
tsukamg
2
前巻で再定義した時間の定義を使って、今度は歴史を定義してゆく。そしてヘーゲルの時間定義を批判したあたりで未完終了となる。この巻は難解で解説なしにはとても読めなかった。そして本巻で全巻読了。あとがきにて訳者が祝いの言葉を述べている。それに値する難しさだったということだ。確かに、これを読み終えることができれば、大抵の難しい書物は難しいなりに読み通せそうな気がする。ただ、今オレの脳みそは、電子レンジで温めた卵のように爆発寸前だ。2022/08/11
わたる
1
第8巻では歴史性と公共的な時間について考察する。通俗的な歴史観では、歴史は現在から理解された過去のものに過ぎず、世人は現在ばかりに気を取られている。一方で本来的な時間では現在は将来と既往から自熟するもので、現存在は時間性によって歴史的に存在することができるのである。そして歴史学によって歴史を解明することで頽落した現存在を立つ現在かできるのである。 2022/12/13
鴨長石
1
とうとう完結。まずは訳者をねぎらいたい。本編とほぼ同量の解説を付してあることにより単なる翻訳だけでは読み取れなかったことまで理解できたのは間違いない。本書のみならず膨大な翻訳を手掛ける訳者の熱量に脱帽だ。本編に関しては、時間性が人類の存在についての根源に関わるというところまでで終わっており、やはり未刊となった第二部が読みたかった。時間について謎を提示されたまま放り出されたような感覚だ。ハイデガーのその後の著作や、現代の思想家の助けも借りながら思索を続けたいと思う。2020/11/19
aspheric
0
第1巻を読み始めてから行きつ戻りつし、読み終えるのに約3年かかった。地味に感慨深い。理解の難しい箇所は講談社現代新書「ハイデガー『存在と時間』入門」、NHKブックス「ハイデガー『存在と時間』を解き明かす」を参考にした。「ハイデガー事典」を入手してからは用語の解説を参照することができ心強かった。まだ消化不良なので理解を深めていきたい。2022/02/13
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