出版社内容情報
プルースト[プルースト]
高遠弘美[タカトオ ヒロミ]
内容説明
病気がちな祖母のため、ゲルマント家の館の一角に引っ越した語り手一家。新たな生活をはじめた「私」は、女主人であるゲルマント公爵夫人に憧れを募らせていく。サン・ルーとの友情や祖母への思いなど、濃密な人間関係が展開する第三篇「ゲルマントのほう」(一)を収録。全14巻。
著者等紹介
プルースト,マルセル[プルースト,マルセル] [Proust,Marcel]
1871‐1922。フランスの作家。パリ郊外オートゥイユで生まれる。9歳のとき喘息の発作を起こし、以来、生涯を通じて宿痾となる。パリ大学進学後は社交界へ出入りするかたわら文学に励む。三十代の初めに本格的にエッセイやラスキンの翻訳を手がけるようになる。1912年、『失われた時を求めて』の原型ができあがり、1913年第一篇「スワン家のほうへ」を自費出版。その後もシリーズは続き、1922年第四篇「ソドムとゴモラ2」が刊行されるが、気管支炎が悪化し、全七篇の刊行を見ることなく死去
高遠弘美[タカトオヒロミ]
1952年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。明治大学教授、フランス文学者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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SOHSA
44
《kindle》語り手一家がコンブレーからゲルマントの館の一角にあるアパルトマンへと転居した直後の場面から物語は始まる。住環境の変化は周囲の人間関係をも変化させ新たな巣を中心としたコミュニティが生まれる。例えば語り手のゲルマント公爵夫人への恋心は、結果としてサン・ルーとの接近を深め、更にサン・ルーとその愛人との交際にも巻き込まれる。一方でサン・ルーが愛人に対して抱く恋情を「幻想」だと語り手は冷静に理解する。ともあれ、人は他人の恋は客観的に分析できるのに何故自分の恋ではその幻が看破できないのか。(→)2019/01/20
燃えつきた棒
42
三十八歳年上のゲルマント公爵夫人に対する恋心というのがどうしても理解できず、今ひとつ物語に入っていけなかった。終盤の祖母との電話のエピソードに救われた。/ サン・ルーの計らいで、「私」は祖母と電話で話をする。 【そしてこちらの呼び出し音が鳴り響くやいなや、私たちの耳だけが開かれている、幻に満ちた夜のなかで、微かな音ーー具体性を離れた音ーー距離が消え去った音ーーが聞こえ、愛しい人の声が私たちに届けられるのだ。 その人だ。その人の声がそこにいて、私たちに話しかけている。それにしても、何と遠いのだろう。→2022/08/08
かもめ通信
21
この巻のいちばんのお気に入りは、サン・ルーの所属する隊で行われているいう戦史講義の「美しい証明」をめぐるあれこれ。(p250~) 2021/03/03
かふ
21
太宰治の女性語りの短編を読んでいると年齢が細かく出てくるが『失われた時~』になると年齢がさっぱりわからない。まあ、語り手の回想だからある時期の年齢よりも総体としての人物像を描いているからだろうか。年齢よりも、そのときの印象的な仕草であったりファッションであったり。語り手がゲルマント公爵夫人に思いを寄せるのが熟女好きもいいところだ。読書ガイドにゲルマント公爵夫人の年齢について書いてあった。55歳だ。それも17歳で恋する。38歳違いの恋は恋と言えるんだろうか?ちょっと違うんじゃないのかな? 2020/01/26
tom
17
記念すべき3000冊目。どの本を登録しようかと、少し考えて、プルーストを選ぶ。少し前に1Q84を読んでたら、マンションに隠れ住んでいる青豆さんが、この巻を読んでました。私は、青豆さんも読んでますか。奇遇ですねえと、ちょっと喜んでしまったのです。それはともかく、とにかく退屈の一言で終わらせることができる本書。少年がかなり年上の上流階級の女性に惚れてしまって、この女性とつながりを持つために四苦八苦する次第が延々と書いてある。何とも疲れる読書体験。ほとんど修行という気分(笑)。2020/06/03