出版社内容情報
カルロ・コッローディ[コッローディ カルロ]
大岡玲[オオオカ アキラ]
内容説明
一本の棒っきれから作られた少年ピノッキオは、誘惑に屈してばかりで騒動に次ぐ騒動を巻き起こす。父ジェッペットさんをはじめ周囲の大人たちを裏切り続ける悪たれ小僧の運命は?19世紀後半イタリア国家統一の時代、子どもに対する切なる願いを込めて書かれた児童文学の傑作。
著者等紹介
コッローディ,カルロ[コッローディ,カルロ] [Collodi,Carlo]
1826‐1890。イタリアの小説家、ジャーナリスト、評論家。フィレンツェに生まれる。ピーエ校で哲学と修辞学を学ぶかたわら書店でアルバイトを始め、知識人や作家、ジャーナリストらと交わったことで政治への関心が芽生え、その後執筆を開始する
大岡玲[オオオカアキラ]
1958年、東京生まれ。小説家。東京外国語大学イタリア語科卒、同大学院修了。1989年『黄昏のストーム・シーディング』で三島由紀夫賞、1990年『表層生活』で芥川賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
83
あらすじと装丁家、祖父江慎氏の愛読書と言う事だけは知っていた『ピノッキオ』。実はディズニー版は未見です。最初、子供たちの意表を突くような語りで始まるのが斬新ですね。そして鍛冶屋のおじさんとジュゼッペさんのダチョウ倶楽部のような喧嘩が可笑しい。さて、ピノッキオですが、ちょっと、悪童寄りの普通の子供に見えます。だって子供は庇護者に依存するし、悪い事を知って言い訳して罰を逃れたい気持ちも悔悛するもすぐに楽な方に流されるのも当たり前だもの。映画『ほんとうのピノッキオ』の予告を見ると原作に忠実なのが分かります2021/11/27
Willie the Wildcat
72
頭の中はディズニー一色。クリケットのいきなりの”変異”、オチは鮫・・・?!う~ん、知らなさすぎたなぁ。(笑)社会的弱者の置かれた法治国家。根底の他者への慈愛が、警察犬とマグロに伝わり道を拓く。差別、先入観が渦巻く中で、気づく愛情。世の中お金じゃ買えないものがあるんだよ!原著のMSG性と共に、時代背景を踏まえた巻末の解説も読み応えアリ。違う意味で、ディズニーのMSG性にも納得感。 2017/04/03
夜長月🌙@読書会10周年
71
1883年に書かれた「ピノキオ」の原作です。ディズニー映画の「ピノキオ」があまりにも有名なのでほんとの話は衝撃的でした。「ピノッキオ」の悪いこと、悪いこと。時おり反省もするのですがすぐに忘れて怠けて遊んでばかりです。あの愛らしいピノキオはどこに行ってしまったのでしょうか。しょっぱなからよき仲間であるはずのコオロギをつぶして殺してしまいます(幽霊としてよみがえりますがひどい話です。)。こんなに長い冒険とは知りませんでした。2023/04/06
いたろう
71
イタリア映画「ほんとうのピノッキオ」を観て、ディズニーアニメとのキャラクター像、ストーリーの違い、ダーク・ファンタジーのような雰囲気に驚き、では、「ほんとうの」原作はどういう話なのだろうと手に取った原作小説。確かに原作は、ディズニーアニメより、映画「ほんとうのピノッキオ」に近いが、原作は、子供向けにしては長い話で、映画は、その原作のすべてのエピソードを描いてはいないことが分かった。そして、ダークさでは、映画以上の部分も。物語の最初の方で、ピノッキオが、「お話しするコオロギ」を殺してしまったのにはびっくり。2021/11/11
なる
65
おかしい…これは本当に自分の知っている「ピノッキオ」なのだろうか…? D社のアニメで慣れ親しんだピノッキオを念頭におきながら読み始めると途端に戸惑う。確かに設定はあの、嘘をつけば鼻が伸びる木の人形。優しいジェペットや、色々とサポートしてくれるコオロギ…それらもしっかりと登場「は」するけど…読めば読むほどD社の作品が良心で彩られたものだとわかってくる。原作者はしぶしぶ書いたそうでヤケクソ気味なバイオレンスとサディスティックが衝撃的すぎる。成長譚の面でも充分に愛があふれていて終盤は素直に感動するやっぱ名作。2022/08/23