出版社内容情報
20世紀最大かつ最難関の哲学書であり、哲学史上最も重要な書物を、徹底的に分かりやすい新訳と詳細な注解、解説で読み通す。
内容説明
「存在(ある)」とは何を意味するのか?古代ギリシア以来の問いを「時間」において捉え、現象学的解釈によって解き明かそうとしたハイデガーの主著。1927年の刊行以来、哲学の領域を超えてさまざまな分野に大きな影響を与え続ける20世紀最大の書物。第1巻は序論までを収録(全8巻)。
目次
序論 存在の意味への問いの提示(存在の問いの必然性、構造、優位;存在への問いを遂行するための二重の課題。探求の方法とその構図)
著者等紹介
ハイデガー,マルティン[ハイデガー,マルティン] [Heidegger,Martin]
1889‐1976。ドイツの哲学者。フライブルク大学で哲学を学び、フッサールの現象学に大きな影響を受ける。1923年マールブルク大学教授となり、27年『存在と時間』を刊行。当時の哲学界に大きな衝撃を与えた。翌28年フライブルク大学に戻り、フッサール後任の正教授となる。ナチス台頭期の33年に学長に選任されるも1年で辞職。この時期の学長としての活動が、第二次大戦直後から多くの批判をうける。大戦後は一時的に教授活動を禁止された。51年に復職、その後86歳で死去するまで旺盛な活動を続けた
中山元[ナカヤマゲン]
1949年生まれ。哲学者、翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かわうそ
46
デカルトもその思想を受け継いだカントもギリシア哲学以来の「存在」観から抜け出せませんでした。つまり、「ある」というものを漠然と理解したまま、要するに存在了解の元に自身の哲学を打ち立てていたのです。例えばデカルトであれば「私は存在する」ということが如何なる意味を持っているかということを検討していませんでした。そこで、そもそも存在とはどういうことかについて哲学したのがハイデガーその人であり、そのために存在とともに認識される存在性格である時間をも考慮に入れなければいけないのですね。2023/02/28
まこ
8
ハイデガーさん師匠越えに挑む。古代ギリシアでは研究されていたけど、それ以降は半ば封印されていた存在に関して記した一冊。これに動詞の活用や言葉の意味も関わってくるとは。ドイツ語、ギリシア語だけでもいろいろパターンがあるからここに日本語が加わるとさらに難しくなりそうだ。2016/03/19
izw
7
今年は読もうと決めた古典の一つ。いくつかの翻訳を比較して、一番新しい光文社古典新訳文庫に決め、読み始め、第1巻で序論を読み終えた。翻訳部分が171ページに対し、解説が291ページと、懇切丁寧に解説されている。これまで何度か読もうとして10ページと読めなかった難解な哲学書だが、翻訳もやさしく何とか読み通した後、解説を読み理解も進んだ。翻訳を再読中だが、ようやく納得しつつ読めるようになった。全8巻だが、現在第5巻まで発行されていて、完結するまであと2年くらいかかるだろうか。焦らずじっくりと読み進めたい。2019/02/16
佐藤嘉洋
7
最初は原文をそのまま直訳したかのような文章が並び、95%意味がわからなかった。 『存在とは存在者の存在であるのだから、存在への問いで問いかけられているものが、存在者自身であるのは明らかである。』 ?? ただの苦行ではあったが、ドMの私は唇を噛み締め読み進む。 すると、途中から訳者の解説が始まり、「ようやく意味がわかりはじめる!」と喜んだのも束の間、90%意味がわからなかった。 難解な本文に難解な解説がつき、自分の読書力の低さに頭を垂れた。 だが、今回10%わかったことを、これからの考察に活かしていこう。2017/06/21
アルゴス
6
『存在と時間』の新たな翻訳だが、本書の特徴はその解説にあるだろう。本文と同じくらいの長さの解説では、この書物を読むための基礎知識を詳しく説明している。研究者であればだれもが知っていて当然なことを、きちんと提示しているので、この二十世紀の代表的な哲学の書物に本気で取り組もうとする読者には、大きな助けになるだろう。2018/02/17