光文社古典新訳文庫
ひとさらい

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  • サイズ 文庫判/ページ数 247p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784334752804
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

内容説明

貧しい親に捨てられたり放置されたりしている子供たちをさらうことで自らの「家族」を築き、威厳ある父親となったビグア大佐。だが、とある少女を新たに迎えて以来、彼の「親心」は、それとは別の感情とせめぎ合うようになり…。心優しい誘拐犯の悲哀がにじむ物語。待望の新訳!

著者等紹介

シュペルヴィエル,ジュール[シュペルヴィエル,ジュール] [Supervielle,Jules]
1884‐1960。ウルグアイの首都、モンテヴィデオで生まれた。両親はフランス人。10歳のときにフランスに戻り、フランス語で書くことを選ぶ。2つの国に引き裂かされた人生から、独特の複眼的な視点による、幻想的な美しい作品を描いた。詩人、作家

永田千奈[ナガタチナ]
東京生まれ。翻訳家。早稲田大学第一文学部フランス文学専修卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

97
人さらいという題名にあるように誘拐の話ですが、実際の話はそんなに深刻ではなく、大家族の中の父性愛などを示したいのでしょう。どちらかというとユーモラスな面があるのですが最後は・・・。そのほか家族に絡む愛情、母性愛、夫婦愛、若い男女の愛、などが示されています。この作家の本は他のも読みましたが、不思議な味わいあるいは余韻を残してくれる作品です。2015/08/15

巨峰

64
不幸な子供を連れ去り擬似家族を築こう、子供の父になろう、とした大佐。だけど、子供の成長とともに彼の矛盾が覆いがたく、内面はどんどんと壊れていき。。。ま、結局は大佐のひとりよがりじゃないかと言ってしまえば身も蓋もないけどねえ。帯に官能的な物語と書いてあったけど、そういうのは全く感じなかった。2013/11/17

藤月はな(灯れ松明の火)

53
大佐が捨てられた子供を連れてきたのが全ての始まりだった。それからどんどん、エスカレートして、遂には親がいる子供までも独善的な理由で誘拐するようにもなる。しかし、彼の行動は不思議と人々に受け入れられていた。美少女、マルセルが大佐の家庭にくるまでは。マルセルへの愛情と他の子供たちへの嫉妬を抱えるどうしようもない男の筈が、成長した子供たちから反発と親離れをされる場面は、大佐が哀れに思えるから不思議です。欲望に堕ちた『痴人の愛』を独善的だけど報われなからこそ、滑稽な善意でコーティングしたような印象の作品でした。2014/02/09

アメフトファン

32
主人公の大佐の正義感とそれとは裏腹な心の弱さが良く描かれていたと思います。それにしても生活の心配もなく悠々自適な毎日を過ごしている大佐の荒れ狂う心の動きを見ると人生を生きる事の難しさを感じてなりません。2014/03/25

meri

21
『八日目の蝉』的な話だと読む前には勝手に推測をしてましたが、いざ読み始めると「う~む」。マルセルを愛してしまった大佐と、それに気づいた妻。マルセルを犯したジョセフと、ジョセフを選んだ彼女。それぞれに腹黒い打算や思惑がありそうで、読んでて楽しい気分にはなれなかった。大佐はマルセルの若さへの渇望と庇護欲、妻は安定と正妻の座への矜持、ジョセフは性欲と独立心、マルセルは性への好奇心と、少女特有のおままごとのよくな恋愛。 『いつだって他人は、こっちが期待するほど、喜んでくれないし、悲しんでもくれないものなんだ』2014/12/24

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