内容説明
デンマーク王が急死し、王の弟クローディアスが王妃と結婚して王の座に就く。悲しみに沈む王子ハムレットはある日、父の亡霊と会い、その死がクローディアスによる毒殺だと知る。ハムレットは狂気を装い、復讐を誓うのだった…。シェイクスピア四大悲劇、最大の問題作。
著者等紹介
シェイクスピア,ウィリアム[シェイクスピア,ウィリアム][Shakespeare,William]
1564‐1616。イギリスの劇作家、詩人。若くして故郷を出、ロンドンで役者となった後、座付作者として活躍。『ハムレット』『オセロウ』『リア王』『マクベス』の四大悲劇など、37編の劇を残し、エリザベス時代を代表するばかりか、時代と国境を超えて、世界文学史上最大の作家の一人に数えられている
安西徹雄[アンザイテツオ]
1933年生まれ。元上智大学名誉教授。また、「演劇集団“円”」を拠点に、シェイクスピアをはじめ、多くの芝居の翻訳・上演にたずさわった。2008年5月死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケイ
122
クロムウェル三部作、特にその第一部『ウルフホール』から感じる『ハムレット』からの影響が気になり、ちくま文庫と岩波の『ハムレット』を再読した。しかし、その二冊と比べ光文社古典新訳文庫と角川版が非常に薄い理由が知りたくなり、こちらも読んでみた。なるほど。シェイクスピア死後まもなく出版された全集(二つ折のForio版、通称F)と別に、最初に出版された短い1603年のQ1(四つ折りQuaotre)と三つの中で一番長い1604年のQ2版があり、光文社の安西やくはQ1からの訳。舞台用だったからか、台詞が読みやすい。 2021/11/07
molysk
60
「生か死か、問題はそれだ。」亡霊となった先王の父から、王となった叔父クローディアスによる毒殺という真相を聞かされた王子ハムレット。暗殺の再現劇に動揺する叔父に確信を深め、狂気を装って復讐の機会を伺う。母である王妃の早すぎる再婚を詰る王子に、王は警戒を強めて姦計を巡らせる。愛するオフィーリアは絶望で入水する。その兄レアティーズは王に唆されて、毒を仕込んだ剣でハムレットとの手合わせに臨む。王妃は毒の盃に倒れ、レアティーズも剣の毒に息絶え、ハムレットはその死の直前に王を刺殺する。シェイクスピア四大悲劇の一つ。2021/03/13
藤月はな(灯れ松明の火)
40
「劣悪な海賊版」とも言われてきたが、最近、「最も原型に近いもの」として評価されてきているのが本書に収録された『ハムレット』である。読んでみたら台詞の使い方や通常版ではあるのにない場面に気づきます。そして場面や登場人物の心情が飛び飛びすぎて「え、待って、どうしてそうなるの!?」とツッコむことしきりでした^^;深見真版『PSYCHO-PASS』上巻のようにこの本も簡素であるが故に脚本みたいだな・・・。読むならば新潮文庫やちくま文庫、白水社などをお勧めします。こちらは舞台を観てから読んだ方が面白いかもしれません2015/01/23
著者の生き様を学ぶ庵さん
32
鬼才・安西徹雄先生のハムレットQ1(第1クォート)。「海賊版」や"bad quarto"とよばれようが、最も筋書きがすっきりしているのがQ1。Q2(第2クォート)やF(フォリオ版)を底本とする翻訳本と場面展開など様々な比較が出来、楽しみが単なる翻訳の比較に留まらない点が快いです。河合祥一郎訳のF版も読んでみます。2016/05/04
しゅてふぁん
25
『Q1』って何だろう、と思っていたら、なんと海賊版!と呼ばれてきたもので現行の『ハムレット』の原形とのこと。通常の『ハムレット』よりも随分と短く、整理されていてわかりやすいらしい。思っていた以上にあっさりとした内容だったのはQ1だったからかな。Q2やFも読んでみよう。2017/09/25