内容説明
連続焼殺事件を追う警視庁の石津ちか子・牧原両刑事。事件の背後に“念力放火能力者”の存在を感じた二人は、過去の事件関係者を洗い、ついに淳子の存在に気付く…。さらに、“ガーディアン”を名乗る自警組織が、一連の“処刑”は淳子によるものと察知!彼らは巧妙に淳子を組織に誘う。胸に迫る孤独!痛切な愛!正義感の向こう側に何を見つけるのか―。
著者等紹介
宮部みゆき[ミヤベミユキ]
1960年東京都生まれ。’87年「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞してデビュー。’93年『火車』で山本周五郎賞。’97年『蒲生邸事件』で日本SF大賞。’99年『理由』で直木賞。2001年『模倣犯』で毎日出版文化賞特別賞、’02年司馬遼太郎賞、芸術選奨文部科学大臣賞。’07年『名もなき毒』で吉川英治文学賞。’08年英語版『BRAVE STORY』でThe Batchelder Award受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
209
彼女・青木淳子が余りにも哀しい。こんなラストは遣り切れない。何がガーディアンだ。何が必要悪だ。『燔祭』のあの時からこんなラストを用意する宮部みゆきが凄いです。ただ愛する人に出会えたはずの彼女の生涯を、今はまだ幼い倉田かおりが踏襲しないようただ普通に生きられる事を願って止まない。2019/04/03
yoshida
208
「燔祭」から続く青木淳子の物語。その強すぎる能力の為に孤独であった淳子。彼女に接近してきた組織はと木戸浩一は、彼女の安息の場になるかと思われた。しかし淳子を待ち受けるラストは哀しい。何より、下手をすればB級アクションに近い作品になりそうな設定を、孤独と繋がりの物語に昇華させた宮部みゆきさんの筆力は圧巻だと思う。また、伊崎の娘の夫のような、底知れぬ悪意と身勝手さを持つ人間を丹念に描き、実に読ませるのだ。淳子の哀しみの先に現れた、倉田かおりの仄かな灯りに救いを見る。正義とは、力とは何か。読者に問い掛ける名作。2018/02/02
zero1
148
正義とは何か?法で裁けない悪を退治するには判断が必要。しかし、人は判断を誤る。それこそが危険だ。この点は「デスノート」も同じ。倉田家で頻発する小火は、新たな超能力者の出現?ガーディアンの関与がある以上、結末はこれ以外にはないだろう。「記憶が殴りかかってきた」(P319)や「言葉を嘔吐した」(P320)という表現は独特。宮部は何度、推敲したのだろう。この後、登場人物たちはどうなったのか。石津は「模倣犯」の武上とともに「RPG」で再登場する。彼女のやり方は遠回りかもしれないが説得力あり。2018/12/28
おか
90
いやぁ ここに出てくる男達 ぜーんぶ嫌い!!!殺されたもの達に「ざまぁみろ!」って言いたくなるくらい!そして主人公の淳子やおばさんデカのちか子さん他の女性陣の素晴らしさ!!! って 男性蔑視みたいな感想になっちゃいました\(//∇//)\淳子の最後は あ〜こうするしかなかったよなぁと、、、本文中の「幸せというのは、いつだって点、なかなか線にはならない。それは真実も同じ」という言葉に愕然とした。「燔祭」からのこの作品 衝撃的でしたψ(`∇´)ψ2017/11/02
タツ フカガワ
79
いやあ面白かった。作中「スティーブン・キングの小説じゃないんですよ」とか淳子のパソコン起動の音声認証パスワードが“ファイアースターター”だったりと巨匠へのオマージュをうかがわせるシーンがありますが、本書の方が本家を超えて楽しみました。解説によると、本作へ繋がる前段があるようなので、そちらも読んでみようと思います。2020/12/03