内容説明
その夜―。関沼慶子は散弾銃を抱え、かつて恋人だった男の披露宴会場に向かっていた。すべてを終わらせるために。一方、釣具店勤務の織口邦男は、客の慶子が銃を持っていることを知り、ある計画を思いついていた。今晩じゅうに銃を奪い、「人に言えぬ目的」を果たすために。いくつもの運命が一夜の高速道路を疾走する。人間の本性を抉るノンストップ・サスペンス。
著者等紹介
宮部みゆき[ミヤベミユキ]
1960年東京都生まれ。’87年「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞してデビュー。’93年『火車』で山本周五郎賞。’97年『蒲生邸事件』で日本SF大賞。’99年『理由』で直木賞。2001年『模倣犯』で毎日出版文化賞特別賞、’02年司馬遼太郎賞、芸術選奨文部科学大臣賞。’07年『名もなき毒』で吉川英治文学賞。’08年英語版『BRAVE STORY』でThe Batchelder Award受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆか
113
随分昔に買った本で、今回何度目の再読なのか分からない位読んだ。何回読んでも、読後感は悲しく、やるせない気分になります。登場人物と同じく、殺人を犯した男女に憤りを覚え、自分自信も復讐を応援してしまいました。この本で言うと、怪物になった…というべきなんでしょうか。意味のない殺人を犯され、いなくなった家族を思い、職場でただトボトボと歩いているお父さんを想像すると悲しい…。ただ、命を呈して守ろうとしてくれている、自分を心底慕ってくれている人がいる事で救われて欲しかった…。2016/06/19
ゆみねこ
101
面白かった!自分を裏切った男の披露宴に、盛装をして散弾銃を抱えて乗り込んでゆく関沼慶子。ある計画のために、彼女の銃を奪い関越道をひた走る男・織口。一夜の出来ごとがスリリングに描かれていて、一気に読破しました。92年の作品なので、まだ上信越道も未開通、携帯電話もないのだけど、スピーディーな展開は圧巻。2016/02/22
yoshida
101
物語に引き込まれ一気に読ませる。宮部みゆきの「復讐」をテーマにした作品。自分を利用して捨てた男への復讐。別れた妻と娘を無惨に殺害した犯人への復讐。そこにあったショットガンが、被害者を復讐に燃える怪物へ変える。伏線が見事に回収される。宮部みゆき作品は出てくる人物の感情が生々しい。関沼慶子を捨てた男、織口邦男の妻子を殺害した男女。ここまで自己中心的な人物は正に「怪物」なのだ。加害者家族と被害者家族を描いたドラマ「それでも、生きていく」を思い出した。ドラマでは加害者家族が苦しみにのたうつ。本書と対照的。2014/12/20
Yuna Ioki☆
73
774-383-40 私刑がどうの、復讐がどうのというよりはスピード感だけで一気読み(笑)DQNはどこまでいってもDQN。。。。まともな人間が正当防衛とはいえ人を殺してしまったなら一生苦しむであろうがDQNは平気なんだな。。。2014/11/24
どんちん
73
むぅ…思わずこの展開にうなってしまった。「この手」のサスペンスはある意味、予定調和的なエンディングをむかえ、「思ったとおりの展開であったが・・・」と感想を述べるはずであった。。。。が、(私の)”予定”を大幅に超えた展開であった。それだけに、”ゴール”に向かっていくクライマックスは非常にスリリングで圧巻であった!!!登場人物もそこそこであり、場面の展開も前場面に関連し、時間軸も大きくずれていないことから、どちらかというと読みやすい展開劇であったことも、そのクライマックスを大いに盛り上げた要因かな。2013/04/14