内容説明
江戸の小梅村で庄屋を務める家に生まれたおえいは気の強い母親と一家を切り盛りしていた。武家に嫁いだ妹は時折物やお金を無心に実家を訪れる。そんなちゃっかりした妹が許せないおえいは、ある日母親の不在を理由に妹の頼みを断る。やがて妹の婚家から届いた知らせは―。嫁ぎ先でいじめ抜かれた妹に手を差しのべられなかった姉の後悔を描く表題作など傑作全六編。
著者等紹介
宇江佐真理[ウエザマリ]
北海道函館市生まれ。1995年、「幻の声」でオール讀物新人賞を受賞し、デビュー。2000年に、『深川恋物語』で吉川英治文学新人賞、’01年には『余寒の雪』で中山義秀文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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時代小説大好き本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
508
「彼岸」という季節を感じて手に取ったが、考えたら「彼岸花」は秋だったな(笑)設定は今と昔で違いはあれど、人々の生活や想いは1ミリも違わない。違うとすれば、この中で亡くなってしまった人たちの病が、今では決して死に至るそれではなくなったことくらい。タイトルが示すように、読後感が寂しくなるような短編が多いが、ひさびさに江戸の市井の暮らしに移入でき、いい読書体験だった。2023/04/04
かなっぺ
110
読了後かなりの日にちがたってしまったが、とーっても良かったです。今でも読後感の良さを思い出せます。宇江佐真理さんを読んでると、胸にジーンとくるんです❤️2018/11/26
じいじ
110
宇江佐さんの小説は、どれを読んでも期待を裏切りません。今作も表題作を含む6短篇、どれも面白いです。主人公娘の出生のヒミツが、最後に明かされる心温まる【つうさんの家】。友達の亭主を寝取ってしまう、罪深い女が改心する話【振り向かないで】宇江佐小説では稀少な性描写が、ちょっぴりエロいです。私の一番のお気に入りは【あんがと】。本所・押上村の小さな尼寺が舞台(現在のスカイツリーが建っているところ)。四人の尼僧と町人らの絆の温かさに感動するお話しで、お薦めの一冊です。2018/09/25
紫綺
107
単行本にて読了。彼岸花・・・まさに血の色を連想させる花。その栄華はあまりにも儚い。2016/09/29
Shinji Hyodo
97
六編の短編のどれもが現在にも十分に通じる人の心の弱さや傲慢さや優しさと、最後に希望を与えてもらえる本当に良い物語ばかりだった。本当の親子兄弟でも分かり合えぬ心や意地がある。元は他人であっても一緒に暮らすうちに通い合う情や絆も生まれる…友達や思わぬ人が救いになることだって真っ当に生きてりゃこそのご褒美なんだ…と宇江佐さんに優しく叱られたような読後感。『野紺菊』大層良かったし泣けてきた。家族を大事にしているか?友達を大切にしているか?親を粗末にしてはいなかったか??ああ…やはり私ゃ地獄に堕ちるなぁ(´Д` )2016/11/08
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