内容説明
自分が異なるなにかに乗り移られることの恐怖、自分の愛するものが別のなにかになってしまう恐怖、それにさえ気づかぬ恐怖。そして、まだ誰も知らない、未知なる憑きものの恐怖…。本書には、根源的な恐怖の物語が集まりました。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
眠る山猫屋
53
再読。上質だなぁ、と。現在のSF界隈の先端にいる方々が書いていたりして、読み応えあり。 古参の作家さんが少し減ってしまったかな?2020/06/20
アーちゃん
45
2010年5月発行。18の憑依譚は粒揃いの怖さ。古今東西の<憑依>について分かりやすい解説が嬉しい編者序文。印象的だったのは、人形を扱った三津田信三「ついてくるもの」、樹海の恐ろしさを描いた真藤順丈「餓え」、グロテスクの中に美しさも感じる黒史郎「ゴルゴネイオン」、風俗嬢を描いた岩井志麻子「憑依箱と嘘箱」、棺桶がラストまで離れない菊池信行「陽太の日記<抜萃>」。外れが少なく面白かった。2024/01/04
カナン
45
残暑の熱を、ぺた、と冷えた手で凍らせてくれる異形シリーズ四十五冊目。人形という物の不気味さを前面に出した三津田信三「ついてくるもの」、京都ならではの怪異を絡めた入江敦彦「修羅霊」、キウィホラーと名付けられた、ニュージーランド舞台の陽気さを漂わせる田辺青蛙「首吊り屋敷」、禁断の罪を明かす平山夢明「箸魔」など安定して良質な作品が多い印象でしたが、中でも朝松健「生きてゐる風」が最後に鮮やかに全部持って行った。丁度午後の雷雨の中で読んだので没入感がとても美味。そして表紙がCGではなく陶器作品と知ってじわりと感動。2020/08/23
眠る山猫屋
34
久し振りに『怖さ』を満喫できたかな。初期に比べあきらかに低調になっていたこのアンソロジー、転機になればいいな。 今回は全収録作品とも完成度は高い。個人的には朱雀門出『地蔵憑き』、三津田信三『ついてくるもの』、井上雅彦『抜粋された学級文集への注目解』がベスト3か。2010/10/14
雪守
12
全部に怪しい雰囲気が出ていて良かったです。特にお気に入りは三篇。入江敦彦「修羅霊」、テ・鉄輪のシリーズをもっと読みたいです。田辺青蛙「首吊り屋敷」、不気味ながらもちょっと和やかな雰囲気が好きです。上田早夕里「眼神」、SFとホラーの調和が面白かったです。2010/09/12