内容説明
空中ブランコ乗りの母を、ある日襲った転落事故。それをきっかけに、仲睦まじかった姉弟は離ればなれになってしまう。根無し草の父に育てられ、社会の底辺を這いずるように生きる弟。無関心で冷淡な母と暮らす中、視力を失い、結婚相手にも捨てられた姉。姉弟が再び一緒に暮らし始めたとき、さらなる悲劇が幕を開けるのだった…。優しくも残酷な究極の愛の物語。
著者等紹介
大石圭[オオイシケイ]
1961年東京生まれ。’93年「履き忘れたもう片方の靴」で第30回文藝賞佳作受賞。大ヒット映画『呪怨』シリーズなどのノベライズでも知られる、ホラー小説界のヒットメーカー。ショッキングな題材を透明感ある美しい文体で綴る独自の作風で、着実にファン層を広げている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mr.lupin
52
何だかんだと言いながら、大石作品17冊目を読了。今回も大石ワールド全開だった。設定自体無茶苦茶で、サーカス団の花形の空中ブランコでの母親の事故。それがきっかけで両親は離婚。異父姉弟は離ればなれに。そしてやがて再会したら何と姉は盲目の娼婦に。弟は殺し屋に。この辺りから、この設定は一体どんなん?って、疑問符が?!まぁ、大石さんらしい読みやすかった作品ではあるが、 結局何が言いたかったんだろう? 儚さ切なさも感じ得る事はなかったかな。 ☆☆☆★★2021/03/03
koguma
21
作り話だから仕方ないと言えばそれまでだけど、あまりにも話にリアリティが欠けているのではないかなと思ってしまった。サーカスの花形である空中ブランコ乗りだった両親の話は本当に必要だったの? 一旦離れ離れになった義父姉弟が再会したら、姉は目が見えなくなっている上に売春まで行い、弟は殺し屋を生業にしてる...って、あれもこれも詰め込めばいいってもんじゃないよね。姉を異常に慕う弟っていうのでもいいんだけど、もうちょっと余分な部分を削って欲しかったな。2018/04/16
青葉麒麟
16
そんなに絶望の状況じゃないと思う。ただの欲求不満の姉弟の話では?姉・翼が絶世の美女の設定だけれど、それで貧乳なの?もっとメリハリの効いた体形を期待していたのになぁ。この姉弟の関係が近すぎて気持ち悪かった(>_<)2013/10/06
ぴょん
14
3.4 盲目の姉とその弟の純恋愛。罪悪感や葛藤を抱きながらもお互いに慕情を抱く様は美しい背徳感に酔うことのできる雰囲気がある。姉と弟で視点が交互になっているのも二人の世界をより一層濃くする要素になっている。幼い頃に母親が空中ブランコのフライヤーとしての大きな翼を持ちながら与えてくれた、華やかで優雅な希望を翔太はその人の娘であり翼という名の姉から無意識に見出していたのかもしれない。殺人のくだりはあまりいらなかった気がする。そのせいでラストは色んな疑問が生じてしまってスッキリしなかった。2015/08/22
篠田@書店員復帰を目指し中!
13
エログロを期待してたが純愛かなと思う展開。文章と世界観は綺麗だし、大石圭らしさが満載なのに何かが足りないという感じがひしひしと伝わってくる。何冊も読んでると大体の展開がよめてくるのでもう少し、展開に捻りが欲しい。けど、大石作品が好きな自分が居るという現実。2011/08/28