内容説明
三十一歳の綾乃は二歳年下の周平と交際して五年、互いの部屋を行き交い、何気ない日常を過ごしている。いつも彼に会いたくてたまらないのに、一緒に暮らすことも二人の未来を決めることもできないまま、関係を続ける綾乃。「一緒にいることが楽しいと思った瞬間に、いつか独りぼっちになるんだと思ってしまう」。結婚に踏み込めない現代女性の心の揺らぎを描く。
著者等紹介
小川内初枝[オガワウチハツエ]
大阪府生まれ。大阪女子大学学芸学部国分学科卒業。2002年「緊縛」で太宰治賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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fwhd8325
28
少し前の恋愛物語。時代によって恋愛模様は変化するのだと感じます。尤も、この作品の初出は2006年、この文庫も2008年です。この後、3.11があり、少なからず男女の関係においても変化があったと思います。だからでしょうか、ここに描かれる姿は、のんびりとしたものに感じます。この感覚は決して嫌いではありません。ただ、時代が変化しているなと改めて気がつきます。2018/08/11
チェス
2
うーん、考えさせられるー。こういうことって白黒ハッキリ出来ないよなぁ。2020/02/02
kuroko
2
幸せになりたい。ただそれだけなのに意外と難しい。考えすぎ?歳を重ねるごとに腰が重くなって動けなくなる。綾乃を見ているとイラつくが自分も大して変わらない…。2012/07/19
mamecon
2
選んで今より不幸になるくらいなら何も選びたくない。一度その選択をしてしまうと、なかなか抜けられなくなってしまう。2010/06/25
こまみ
0
綺麗で丁寧な文の書き方で、一気読みでした。物語が唐突に終わったので、これからの綾乃たちが気になります。恋愛部分についてはあまり共感出来ませんでしたが、綾乃やアキや多恵たちの繋がりが面白かった。頁15の「‥波紋が、たぷたぷとコンクリートの堤防に打ち寄せた。」の真逆の表現が面白くて、頁64の「‥空想の中でなら、私は結構死んでいる。」も好きで、メモ。2023/10/10