内容説明
結婚も離婚もしたことがなく、独り暮らしをしたこともない。キャバクラにも海外旅行にも行ったことがない。そんな「極端に臆病で怠惰で好奇心がない性格」のほむらさん・四十二歳が、必死の思いで数々の「現実」に立ち向かう。献血、モデルルーム見学、占い、合コン、はとバスツアー…。経験値をあげたほむらさんが最後に挑むのは!?「虚虚実実」痛快エッセイ。
目次
現実だな、現実って感じ
美しいドラえもん
“生活”といううすのろがいなければ
にわかには信じがたいでしょうが
りそな姫
真夏のおめでとう
逆転の花園
祖母を訪ねる
幸福の町
ちかいます
アカスリとムームー
ゲロネクタイの翼
一日お父さん“昼の部”
一日お父さん“夜の部”
ダンディーと競馬
魅せられて
夢のマス席
パラサイトシングルマン、部屋を探しに
木星重力の日
あとがきにかえて
著者等紹介
穂村弘[ホムラヒロシ]
歌人。1990年に歌集『シンジケート』でデビュー。絵本翻訳も多数。『短歌の友人』で第19回伊藤整文学賞、「楽しい一日」で第44回短歌研究賞を受賞。石井陽子との共作『It’s fire,you can touch it』(「火よ、さわれるの」)でアルス・エレクトロニカインタラクティブアート部門Honorary Mention入選(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
292
「人生の経験値」が極端に低い(42歳にもなって、海外旅行も一人暮らしも結婚もしたことがない)穂村さんに、様々な現実を経験させるという雑誌の企画が持ちあがった。そこで、人生初体験の献血をはじめ、さまざまなことに挑戦するのだが…。抱腹絶倒の挑戦記だ。彼の方法は、ひたすら妄想を膨らませることにある。いずれの項目もこれ妄想のオンパレードであり、そこに個性もあり、面白みもある。ただ、最後の「木星重力の日」と「あとがき」は、はたして現実だったのだろうか。それとも、これも妄想?実に巧みな穂村マジックの世界に捉えられる。2013/05/02
こーた
214
読みおえて本を閉じると、表紙のタイトルが目に入ってニヤリとする。むー、これが現実かあ。ほむらさんの挑む現実は、ぼくもほとんど経験したことがない。献血、占い、結婚式、お父さん。果敢に現実に入りこみ、自身もその一部となって、現実そのものが変化する。それを文章に書くことで、世界とのずれが生じる。おお、何だか、量子力学の観測問題みたい。電車に揺られて読みながら、クスクスとときに声を出して大笑いしていると、いつのまにやらぼくまで現実に取りこまれて、気づけば向こう側へ連れされている。そうか、これが現実なんだ。2019/03/10
きさらぎ
119
42歳にしては経験値が低いほむらさんを連れだし、いろいろ経験してもらおうという企画の本。最後の最後は(°°) そうかあ。そこへもっていくための布石だったのかぁ。
Emperor
79
タイトルに惹かれました。「人生の経験値」が低い穂村さんの体験型エッセイ。現実と少し距離を置いたところでふわふわと浮遊しているような印象で、違う星から来た人のエッセイを読んでいるような気分になりました。江國香織さんの解説も面白かったです。2016/11/26
団塊シニア
69
占いのところが面白い、結局なにひとつ当てなくてポイントになる情報は全部筆者が提供してる。そして不況だから会社やめるなには確かに驚きです。笑える場面が多い一冊です。2012/07/16
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- 和書
- 出口のない海 講談社文庫