内容説明
愛し合う若い二人が死に場所をもとめて阿蘇・耶馬渓を彷徨い歩いた末に見つけたのは…。青春の甘美な哀しみの庭に流れる不安感をとらえた「青春の彷徨」のほか、推理小説「地方紙を買う女」「市長死す」、芸術家の創造へのたたかいを追究した傑作「運慶」など多彩な清張短編傑作九編を収録。
著者等紹介
松本清張[マツモトセイチョウ]
1909年北九州市生まれ。給仕、印刷工などの職業を経て、朝日新聞西部本社に入社。懸賞小説に応募入選した「西郷札」が直木賞候補となり、’53年に「或る『小倉日記』伝」で、芥川賞を受賞。’58年に刊行された『点と線』は、推理小説界に「社会派」の新風を呼び、空前の松本清張ブームを招来した。ミステリーから、歴史時代小説、そして、古代史、近現代史の論考など、その旺盛な執筆活動は多岐にわたり、生涯を第一線の作家として送った。’92年に死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Aya Murakami
79
アマゾン購入本。 青春の彷徨目当て。枠物語ですね。冒頭の藁人形の絵は何だろう?丑の刻参り???と思ったら自殺者救助の練習のためだったのですね。そうそう!阿蘇での身投げって失敗すると旅先の宿のおばちゃんが言っていました。救助される藁人形に自己投影…これは身投げ意欲が下がります。2024/03/03
KAZOO
38
時代物が3作あり、全部で9作納められています。比較的本来の短篇ということで清張の得意の分野であると感じました。特に私は昔から何度も読んでいる「地方紙を買う女」は私にとって清張の名作の一つだと感じています。また「運慶」も読んでいて別の意味での名作だと思います。2014/11/05
とろとろ
26
松本清張の短編集をライフワークのごとく読む(^o^)。第6巻。ちょっとした疑問から殺人事件を解決したり、7年も待った完全犯罪であるはずが少しの油断で瓦解するなど、いろいろなアイデアの短編が9編収録されている。しかしまぁ、次々と思いつくものなんだなぁと感心する。2015/09/04
桜もち 太郎
25
短編9作品が収録されている。なかでも歴史小説が3編、意外な感じがするがデビュー当初は歴史小説家と見られていたそうだ。他の作品は昭和の匂いがプンプンする推理小説。昭和っぽく個人情報のダダ洩れ感が何とも面白い。今の時代には成り立たない感じだが、それはそれ。良かったのは「青春の彷徨」、若い男女が死に場所を求めて旅をする。醜い死に方はしたくない、そんな二人の思いがたどり着いた現実は。「地方紙を買う女」も良かった。複雑に絡み合うということがないところが松本清張の魅力かな。このシリーズも8冊目。この続きはまたいつか。2021/05/19
団塊シニア
15
「ひとりの武将」は歴史小説であるが佐々成政という武将の生身の人間を描いており歴史解説書でない面白さがある。2012/07/13