内容説明
天明八年の正月早々、吉原の引手茶屋で沽券状を狙った事件が頻発した。廓の危難に奔走する吉原会所と神守幹次郎の前に、権利を売り姿を消した茶屋夫婦の刺殺体が!残る二人の娘の行方を追う幹次郎たちは、巨漢の武芸者を引き連れ、沽券状を買い集める黒幕の年寄りに辿り着く。吉原乗っ取りを策する真の狙いは何か?背後に田沼派の残党と老中首座の争いが…。
著者等紹介
佐伯泰英[サエキヤスヒデ]
1942年北九州市生まれ。大学卒業後、闘牛カメラマンとして海外で活躍後、主にノンフィクション作品を発表する。’99年初の時代小説『密命』シリーズを手始めに、次々と時代小説を発表。2007年6月、時代小説通巻百冊の偉業を成し遂げる。’07年度新設された第1回ジャパン・ブック・オブ・ザ・イヤーの作家部門を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
117
この題名で「沽券にかかわる」の本来の意味がわかりました。吉原が再建されるまではなにかとその金づるをつかもうとするやからが跋扈するのでしょうね。田沼、彦根藩の井伊大老、京都の遊郭の島原などなどまあよく話を面白く大掛かりにしてくれます。それにしても主人公は強い。2017/10/25
kinupon
75
吉原の仮宅営業の話は、それはそれで楽しめました。しかしその裏でうごめく大きな影に立ち向かう主人公は相変わらず颯爽としています。2018/01/24
冴子
33
沽券に関わるという沽券が元々は土地の権利書のようなものだったのだと初めて知りました。仮宅営業が続く吉原で、茶屋の売り渡しが続き、しかも元の主人夫婦が殺害される事件が起こる。幹次郎たちの活躍が光るが、今回は主犯がまだ捕まらない。次に続くのか。江戸時代も平和が続くと、剣の腕前がいいだけでは何の役にも立たなくなってきて、悪い奴らに利用されることが増えるんだなぁ。幹さまみたいな人は少ないのかも。2016/07/03
藤枝梅安
29
天明七年暮れの火事で吉原が炎上し、仮宅での営業が続く中、再建をあきらめ、茶屋の沽券状(権利状)を売り渡す茶屋の主が現れた。しかも、売り渡した直後に殺害されるという事件に発展する。吉原の危機と感じた会所の四郎兵衛は神守幹次郎の助けを借りて一連の事件の裏幕を追い求める。吉原乗っ取りの裏にさる大名家の策謀が見え隠れする。痛快な娯楽時代小説。2010/12/25
よむヨム@book
28
★★★☆☆ 星3つ 吉原の引手茶屋や妓楼の権利に関わる沽券が買い集められるという事件が起こる。 吉原の乗っ取りの為か、幹次郎はじめ会所の者たちが黒幕を炙り出す。 ここで違う本に移ろうと思ったが、先が気になるので『異館―吉原裏同心〈11〉』を早速読もっと。2022/09/07