内容説明
その鮨屋は、職人が一切顔を見せない不思議な店だった。長い暖簾の奥の暗闇から、つるりとした白い手がのぞく。そして供される鮨は、あまりにも見事なものだった―(「鮨屋の怪」)。練り上げられた文章が掬い上げる虚実皮膜の世界。その筆にかかると、一杯の蕎麦が、一本の万年筆が、とたんに息吹を放ち始める。途方もない蓄積と経験に裏打ちされた珠玉の20編。
目次
食彩(桜鯛の花見;胡同の茶館;ムッシュー・バタール;リスボンのあんぱん ほか)
物彩(と思う今日この頃である;執事の偏愛;嗚呼!熱海キネマ;金メッキのデュポン ほか)
著者等紹介
勝見洋一[カツミヨウイチ]
1949年、東京・新橋に代々続く古美術商の長男として生まれる。成城大学卒業後、文革下の北京で美術品の鑑定に携わり、パリの大学で教鞭を執る。パリではレストラン・ガイドブックの星印調査員のアルバイトの経験を持ち、NHK『男の食彩』のキャスターを3年間務めた。2000年には、『中国料理の迷宮』でサントリー学芸賞を受賞。美術評論、オーディオ・ビジュアル評論などの分野でも名高い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しずかな午後
11
「旨いのかい。ここは」「おっと待った。このあいだ死ぬほどまずいアメリカの味を食べてみたいと言っていたから、わざわざここにしたんだ。まずくても面白ければ、それは旨いんだ、というのが君の持論じゃないか」。表題作「怖ろしい味」の会話。ニューヨークの中華レストランで、ウスターソースを水で薄めた酷いスープが出てくるが、著者はそこに今は失われた中国本場のスープの幻を見る。本書はミシュランの覆面調査員や、美術商として世界各地をわたり歩いた著者による食エッセイなのだが、とにかく胡散臭く、そして驚くほど面白い。2025/05/13
KN
0
凄い人がいるもんだなぁと思った ホンモノってこういうことなのかも
マサチューセッツ。りん
0
何か、無理やり格好良くまとめようと努めているのが見え見えで… 通勤途中の暇つぶしとかなら問題ないけど。 ぱっと見は、それっぽく見せかけてるけど中身ってかセンスないわー2011/06/12
惰性人
0
「男の食彩」のキャスターも努めた著者による食についてのエッセイ。う~ん、魯山人のような迫力はなく、あまり怖ろしくないかなぁ。2011/04/25