内容説明
哀切なファドの調べが流れるポルトガル・リスボン。カメラマンの桑田は、南蛮屏風や螺鈿細工などの撮影にやって来ていた。老いの入口に立つ彼の胸に去来するのは、あり得たかも知れないもう一つの人生。異国の地で思い惑う男の情感(表題作)。過ぎ去った時の重みを捨て去りかねて、最終幕への一歩手前でたたずむ男たち。そのうしろ姿を細やかに描く傑作短編集。
著者等紹介
内海隆一郎[ウツミリュウイチロウ]
1937年、愛知県生まれ。立教大学卒業。’69年「雪洞にて」で文學界新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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衛兵
9
9編を収めた短編集。どの作品にも年齢を重ねた男性が出てくるところが共通点。夢に敗れた者、家族を裏切った者、老いらくの恋に走る者と様々だか、いずれもどこか哀愁と疲労感が漂う。2016/09/08
sagatak
4
たぶんサウダージという本と間違えて読んだのだと思う。サウダーデという響きがいいからか読んだがそれは副題で郷愁というタイトルで短編集だった。そして最初の2話で挫折しそうになり、でもせっかくだから最終話のサウダーデを読んで、やはり残念だった。悪い話でもないが読んで気持ち良い話題でもなく、最後は多少救いのあるパターンどれもも同じで無理無理だ。こういうのが好きな人も多いのでしょうか。表紙の写真はいいのになぁ。2019/08/23