内容説明
食べること、飲むことの喜びをゆったりと味わう―。うまい酒、うまい料理。文章そのものに酔い、読むことを味わう。“食”の幸せが溢れる名著。
目次
1 舌鼓ところどころ(食べものあれこれ;舌鼓ところどころ;旅;旅と味覚 ほか)
2 酒肴酒(酒、肴、酒;日本酒の味;酒の話;食べもの遍歴 ほか)
著者等紹介
吉田健一[ヨシダケンイチ]
1912年東京生まれ。幼少のころから、外交官の父・吉田茂(のち首相)の任地に従ってイギリス、フランス、中国などで育つ。その後、ケンブリッジ大学に学ぶ。文芸批評、ヴァレリー、ロレンスなど、英仏にわたる翻訳、また随筆、小説などで多彩に活躍。1977年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shoji
66
滋味に満ちた文章がつらつら続きます。 心穏やかな時にゆっくりと読み進めたい本です。 作者の吉田健一さんは吉田茂元首相のご子息だとか。 もとよりセレブ。しかも、父親の外交官時代の赴任地での豊富な海外経験。 はぁ、我々世俗とは血統から違うのか、、、、2016/11/30
マッピー
17
一週間の旅行中、ずっとこの本を読んでいた。移動の飛行機や新幹線の中で、ふっと空いた時間の隙間で。広島に向かう飛行機の中で、広島の牡蠣がいかに美味なのかを読み、神戸に行く前日のベッドの中で神戸での飲食の喜びや楽しみを読む。随筆なのかと思いきや、明らかにこれは創作物というものも多く、どこまでを信じてよいのやら。もはやこれすべてが酔っ払いのたわごとなのか?普段だったら一気に読もうとしてしまうけれども、一週間かけてちびちび読んでよかった。だってずっと楽しめたもの。2024/04/24
奏市
17
こんなに楽しい読書は久しぶりだった。酒を美味しく飲めるってとても幸せな事だとの実感をさらに深くした。食に関しての文章は普段はあまり興味ないが、著者の表現もあってか食べたくなるもの多かった。長崎の卓袱料理「食いしんぼうで飲み助であるすべての健全な人間の理想をいやでも実現する」。「甘い料理で酒を飲むと、甘口の酒も辛くなり、辛口のは今日のでも昔の辛口の味がする」。長崎で食べるアラ、鯨をうまいと評され嬉しい。「一国、あるいは一都市の文化の程度は、そこでどれだけうまいものが安く食べられるかということできまる」。2022/02/26
たまきら
16
どこで何を食べても、吉田さんの文章はどこかノーブルなんだよなあ。お会いしてもこんな人だったんじゃないのかな、が伝わってくる。素敵だなあ。食べ物より、かれの「食べ方」、人生哲学が見え隠れするところがやっぱりこの人の本の魅力ではないだろうか。2016/10/01
ジロリン
15
長い事手付かずだったのだが、この連休に温泉へ行く時、持って行って大正解。こういう環境で読むのが、この本には似合ってるらしい…やっと読了できたw 贅沢な育ち方をした筆者だからこそ、贅沢な飲食の事を語っても全然”背伸び”してる感がなく、サラリと読める。そして時折ワタシのような無教養な輩にはとても捻り出せないような含蓄あるお言葉が、これまたサラリと放り出される…気楽に読むわけにはいかないけれど、とても楽しく読める、という不思議な魅力。「恐れ入りました」と言う他はないw2017/05/05