内容説明
時代小説の中に流れるミステリーの水脈!―ミステリー文学資料館編の新企画「名作で読む推理小説史」は、テーマごとに昭和、平成のミステリーの傑作短編を精選。その歴史を俯瞰すると、新たな読書の醍醐味が生まれてくる。山本周五郎、松本清張、山田風太郎、司馬遼太郎、永井路子、池波正太郎、宮部みゆき…錚々たる顔ぶれを一冊に収める豪華アンソロジー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
45
面白かったです。時代ミステリーということで、捕物帖とはまた異なる魅力がありました。2020/10/28
タツ フカガワ
33
11人の時代小説作家による謎解きを斬り口にしたアンソロジー。ただミステリーとして書かれていない作品もありますが、充実した作品群でした。なかでも山本周五郎「しじみ河岸」と山田風太郎「怪異投込寺」が印象深かった。前者は蜆河岸で起きた殺人事件で犯行を自白した娘の言動に違和感を覚えた吟味方与力が真相に辿りつくものの、なんともやるせない余韻に包まれる一編。後者は吉原を舞台に、津軽侯を袖にした花魁薫と葛飾北斎、津軽藩お抱え絵師、投込み寺の謎の墓守が繰り広げる物語。いつもながら山風先生の妄想力にただただ平伏です。2021/12/20
ネムル
7
普段読まないような作家に惹かれて読んだが、一番好きなのは好んで読む松本清張だった。江戸の牢獄サスペンスと滑稽のバランスがいい按配。あとは池波正太郎「だれも知らない」もいい。2014/07/06
Mikey
2
沢山の時代小説の作家のミステリーを集めた短編集。短編なのでなかなか著者の色が出にくいが良いものを集めたと感じた。もう少し眺めの小説のほうが良かった気もするがこれだけの著者を集めると分厚くなるので、こんなところか。読みやすくて楽しめた。2019/10/04
志村真幸
1
岡田鯱彦「変身術」、山本周五郎「しじみ河岸」、松本清張「いびき」、山田風太郎「怪異投込寺」、南條範夫「願人坊主家康」、多岐川恭「雪の下-源実朝」、司馬遼太郎「前髪の惣三郎」、永井路子「からくり紅花」、池波正太郎「だれも知らない」、新羽精之「天童奇蹟」、宮部みゆき「だるま猫」の11篇が収められている。 いずれも、「捕物帖ではない」ものが選ばれているという。 純然たる小説もあれば、南條範夫「願人坊主家康」、多岐川恭「雪の下-源実朝」のように歴史上の謎を追ったものも。 2017/09/27