出版社内容情報
化人幻戯……「化生の者の魔術」を駆使した二重三重の不可能犯罪に挑む明智小五郎。久々に少年もの以外に登場した明智は五十歳をすぎ、著者また還暦を迎えていたと感じさせないほど筆致は瑞々しい。他に少年探偵団シリーズ唯一の海洋冒険小説「海底の魔術師」など、乱歩の幅広い魅力を楽しめる一巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
68
表題作について。タイトルからして既に秀逸感があります。エロの行き着く先から人間の内在論理が描かれたとかぬるいことではなく、これはもう完全に病気。これは治療が必要。だけど、たぶん上手く行かないだろうなぁ・・・。こういう方々が救われる時代が来ることを切に願いました。2023/03/27
道楽モン
22
昭和29〜30年の作品集。『鉄塔の怪人』『海底の魔術師』が少年モノ。『化人幻戯』は起死回生の本格路線を狙った様だが、根が助平な乱歩節を発揮して破綻ギリギリ。とはいえ読んでいると面白く、スランプとはいえ人気作家の底力を発揮している。トリックは堂々と剽窃(本人はリライトと主張)なので、構成や筆力で勝負するしかないが、そこが乱歩先生の真骨頂(全盛期の鋭さは無いが)。ともあれ、明智小五郎も50歳を超え、乱歩先生も還暦超えながら、精力的に作品を生み出そうという意欲は尋常ではない。表題作の犯行動機こそ乱歩である。2024/01/01
KAZOO
20
「鉄塔の怪人」と「海底の魔術師」は明智探偵と小林少年のもので子供の頃に読んだ覚えがありました。「凶器」と「悪霊物語」は短編で5つの連作らしいのですがここには二つしか収められていません。表題作が一番大人が読んでも読みごたえがある感じがしました。でも明智がいつもの通り出てきますね。2014/08/14
不見木 叫
17
長編と短編が1編ずつ、少年探偵団もの2編、リレー小説1編とバランスのいい構成。「化人幻戯」が白眉。2024/03/11
頭無
7
「鉄塔の怪人」二十面相もので一、ニを争う訳ワカメな作品。小林にカブトムシの格好をさせて丸ビルに放置プレイ。明智が女乞食に化ける意味がわからない。鉄塔の上からカブトムシダイブで二十面相fin(死)。「兇噐」安楽椅子もの。明智50過ぎの事件簿。夫人は高原療養所に。「悪霊物語」リレー連作もの。単体では☓。「化人幻戯」せっかく苦労して密室を作ったのになぜ殺害を示す白い羽根を置く?。犯人、動機は良い。タイトルは秀逸。「海底の魔術師」あわれなさいごを迎えたはずの二十面相ふたたび。別人の説あり2022/05/03
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