感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
102
表題作について。ホラーだけど、なんだかとっても微笑ましいです。著者はこういうのも結構巧いんだなぁと思いました。2023/05/01
藤月はな(灯れ松明の火)
66
『蟲』のみ、読了。9月に開催された幻影嬢で「青空文庫で読むも伏字になった部分が分からない」という方の言葉に私は「伏せている部分はほかの本に書いていますよ」と言ってしまった。そう、私は驕っていたのだ。結果、読み比べると伏字の部分が削除されていたり、文章が飛んだりしている事が判明し、「一体、この伏字の部分は何が書かれていたんや!」と読書会は混乱に陥ったのである。今回は伏字部分を確認したくて再読。結構な文章(主に死体となった芙蓉への扱い)が伏字になっており、版によっては削除されたり、別の表現になっている。2024/10/20
かんらんしゃ🎡
61
明智君、私が分かるかね。怪盗ルパン?ちげーよ。似てるけどちげーよ。ヤツも今じゃ三世の方がメジャーで災害級に可哀そうなんだが。私の名を聞いて驚くな。怪人20面相だお。フッフッフ、GAっFAっFA!グリコ森永事件の犯人?いやあれは偽者だし。21面相だし。あんたも古いね。30年前の事件だぜ。おっと俺たちゃもっと古いんだ。ボーっと生きてたんじゃねーよ、ちと計画運休してたんだ。もともと高プロだったからな。そしたら頭もこんなグレイヘアになっぢまって(T-T) 押絵もいずれ頂くよ。さらばだ、明智君。2018/11/21
めしいらず
44
乱歩自身が「私の短篇のうちで最も気に入っているものの一つ」と言った名篇。京極夏彦「魍魎の匣」の作中作にもその影響が見て取れる。「まるで熱に浮かされたような」と言われる語り口。冒頭の幻想的な蜃気楼の場面といい、主人公が老人から聞かされる世にも不思議な体験といい、まるで夢と現の境目を進むかのようですらある。昭和初期の浅草、その時代の空気が、物語の美しい雰囲気を一層深める。儚い恋の行方、それを見守る老人の優しい眼差し、哀しい未来を予感させつつ、静かに闇の中に溶け込むように閉じられる物語。見事。表題作のみ再読。2013/03/21
Tui
40
職場の友人が乱歩で一番好きと話していた表題作。読後の余韻が美しく、読み返すほど味が出る。たしかに名作。その他収録作『蟲』は、まるで九相図を文字に起こしたような読み心地。後半になるほど「◯◯◯◯掃除したり、」といった伏字や「(以下十六字削除)」なんて削除箇所が増し、イヤ〜な想像が膨らむばかり。『蜘蛛男』は、明智小五郎が騙し騙されの大活躍劇だが、かなり早く犯人の目星がついてしまい忍耐の読書に。『盲獣』は、乱歩自身が「ひどい変態ものである」と呆れるほどのエログロ。なら何故こんな長さに?ほんと変態(賞賛してます)2016/03/16