内容説明
“被疑者”冬木二等兵の「不条理上申」と東堂太郎の「意見具申」とは奏功、奇怪な“事件”は終熄する。醜怪極まりない「模擬死刑事件」による、東堂・冬木らの営倉入りを経て、事態は、教育期間の最後を飾る大珍事によって急転回する。その主人公こそ、大前田軍曹その人だった―。そして、一九四二年四月二十四日午前九時五十五分、東堂は屯営に訣別したのであった。
著者等紹介
大西巨人[オオニシキョジン]
1919(大正8)年福岡市に生まれる。九大法学部中退。新聞社勤務を経て、召集により対馬要塞重砲兵聯隊に入隊。45年に復員後は福岡市で『文化展望』を編集。47年『近代文学』同人。52年上京して「新日本文学」常任中央委員となる。72年同会を退会。戦争・政治・差別問題を中心に執筆活動を行っている
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