内容説明
天正五年、十四歳の咲姫は、甲斐の太守武田勝頼に輿入れした。織田・徳川連合軍に大敗した武田は、甲相同盟の強化を計る。だが、やがて咲姫の兄・北条氏政が、勝頼との同盟を反古にし、織田と同盟を結んだ。木曾義昌の謀叛、さらには武田一門筆頭の穴山梅雪の逆心と、名門武田氏は滅びの道を辿るが…。悲運の武将・武田勝頼を敬愛し、殉じた女の生涯を活写。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
橘きこ
2
武田勝頼の正室、咲姫の視点から、武田家に嫁ぎ、そして滅亡を迎えるまでを描いている。勝頼との仲睦まじい姿、特に雪だるま競争のシーンが微笑まかった。それだけに、勝頼の人望のなさから裏切り者が相次ぎ、武田家滅亡の一途を辿る様は、読んでて哀しいものがあった。咲姫は、勝頼のそばにいることを願い、実家には帰らず、壮絶な最期をとげているのだが、果たして彼女は幸せだったのだろうか?2012/06/19
アルゴン
0
★★★☆ 巷説とこの話とで史実の解釈がどう違うのかを明快に開設した「あとがきに代えて」は非常におもしろかったです。本編も武田家の悲壮感が伝わってくる物語でしたが、いかんせん歴史小説にしては文体が少し軽い。それにしても人間強いものになびくなあ。2015/09/12
yamakujira
0
(★★★☆☆)
吉川元春
0
あくまで北条夫人(作中では咲姫)から見た武田勝頼と武田家。作者の好みや主観ではなく完全に主人公視点で描かれていると思いました。2024/09/20
pantyclub
0
戦国大名の正室の時代小説。記録が少なくてフィクションが多いと思う。名門武田家の衰退が良く分かる。勝頼公は試練の連続で時代に捨てられた感じ。主人公は正室だけど周囲の政治情勢の変化の方が印象に残る。内容的には前半の説明部分が多くて物語に入りにくい。中盤からやっと話が流れる。ラストは少し雑な感じがするので消化不良な感じが残るのが残念。2022/10/29