内容説明
これらの作品を一作一作味わっていくと、みずから選択したかに見える「別れ」も、生木を裂かれるような「別れ」も、憎しみの果ての「別れ」も、計算された小意気な「別れ」も、流されるままに別れるしかなかった「別れ」も、人間という謎めいた船が暗い水面に残す波に似ていることに気づく。この世は「別れ」に満ちている―味わいあふれる名篇の数々。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
47
宮本輝さんによるアンソロジー。どの作品もよかった。わかれをテーマにした短篇ばかりだが、小説とはある意味ですべからく何等かのわかれを描いているのではないだろうか。この作品集をきっかけに、触れてみたいと思う作家さんも増えた。収穫は大きかった。2015/09/11
Shoko
27
宮本輝氏が編む「別れ」を主題とした14編のアンソロジー。三浦哲郎「川べり」、田辺聖子「ジョゼと虎と魚たち」、連城三紀彦「桐の柩」、アントン・チェーホフ「不幸」、水上勉「猿籠の牡丹」、宮本輝「暑い道」あたりが印象に残った。人生には様々な別れがある。また年を重ねるごとに違う物語が心にしみたりするのだろうと思う。2020/02/21
さぁとなつ
25
宮本輝編 編者の作品も含めて14の短編が収められている それぞれがいろいろな“別れ”を取り上げている どれもぼんやりとした薄ら淋しい作品 宮本輝は「この世は『別れ』に満ちている」といい、人間の背中を表現する作品が好きなのかと思えるくらいの作品集 中では田辺聖子「ジョゼと虎と魚たち」五木寛之「夜の角笛」チェーホフ「不幸」水上勉「猿籠の牡丹」などが印象的2025/05/02
美雀(みすず)
24
いろいろな別れ話のシーンが心に残ります。作家さんの選んだストーリーは流石だなぁと思う。2016/09/14
橘
11
様々な別れの形。男女間の色恋での別れがほとんどで必ず肉欲と情欲部分あったとはいえ、全然わからん…というお話があまり無かったのがすごいです。連城三紀彦「桐の柩」が特に沁みました。伊集院静「桃の宵橋」、田辺聖子「ジョゼと虎と魚たち」、宮本輝「暑い道」もしみじみ良かったです。2024/08/16
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