内容説明
「新之助、進吾を討ち果たし、深雪を連れ戻して参れ」と殿の厳命が降る。新之助と進吾は同じ小姓組で無二の親友だ。深雪は先君の庶子。その深雪と欠落ちして殿の逆鱗に触れたのだ。上意は絶対である。進吾を討たねば帰藩は許されない。新之助は婚約者と別れ旅に出た。三年目、独り身に落ちぶれた進吾を発見するが…（表題作）。武士道の真髄を活写。他八編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
renren
0
これは当たりだ！ 時代物に過剰に現代感覚が入るのは好きでなく、かといってあまりにしゃっちょこばって人間味の薄いものも好きでないのですが、（現代のわれわれにも通じる）泥臭く人間くさい感情や男女の愛着と、当時の下級武士の義理や体面、矜持にやせ我慢といったものが非常にバランスよく描かれている。舞台設定もどれも巧み。「『死に役』参上」と「身代わり切腹」が好みだったかな。著者の他の作品も読みたい。2012/03/14
