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内容説明
日本の歴史・文化は『呪い』によって作り出された―。桓武天皇は呪いを逃れて遷都し、武田信玄と上杉謙信は強烈な呪術で対決した。明治天皇の初仕事は、七百年以上も崇り続けた崇徳天皇の怨霊(死者の呪い)を鎮めることだった…。歴史に暗躍した『呪い』のシステムを明らかにし、世紀末に生きる私たちの存在を問い直す。鬼才の名著、ついに文庫化。
目次
プロローグ なぜ、いま「呪い」なのか
1 蘇る「呪い」の世界
2 なぜ、人は「呪い」を恐れるのか
3 どのように呪うのか
4 「呪い」を祓うシステムとは
エピローグ 「人を呪わば穴ふたつ」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
テツ
25
本邦における呪いの文化史。日本人の感性とマッチした呪術。呪いと祝いとは本来同じメカニズムから発生するということ。意味のないモノ、意味のないコトに意味づけをする行為。マイナスの意味づけならば呪い。プラスならば祝い。現代社会では呪いという言葉を用いないだけで、こうしたことはまだまだ普通に行われていますよね。過去に消え去った古臭い概念だと思うのは大間違いで、未だぼくたちは呪いが(祝いもね)飛び交う世界をそうとは知らず生きている。2019/12/26
りー
6
「呪い」なんて言葉を使えば、科学全盛の昨今、鼻で笑われて終わりだ。けれどもそれは、単に呪いを気にしない「フリ」が主流になっただけであって、現代でも変わらず呪いは人を縛り続けている。オカルトとしての呪いなんてのは無論存在すべくもないが、古の昔から人を動かしてきた「機能としての呪い」は日本人としての精神性に深く根付いたものなのだから。この本は胡散臭いタイトルに胡散臭い扉やフォントでたいへん不誠実な雰囲気を醸し出しているのだけれど、そういう機能的な呪いをわかりやすく説明してくれる良書である。面白かった。2013/02/11
ダイキ
2
解説・阿部謹也。 「信仰や哲学において共通の基盤の上で活動している欧米の学者たちにとっては研究対象と個人の関係は自明なものであり、あえて私と対象の関係を語る必要はなかったのである。しかし、日本では〔略〕読者としてみれば著者が何故、どのような関心にたって対象と取り組んでいるのかが見えず、そのために学問的著作がつまらないという印象を与え続けてきたのである。私という言葉を中心に据えることによって、日本の伝統的人間関係や文化と西欧的な近代との関係を正面から捉えなければならなくなるのである。」(解説)2024/03/03
ういじ
2
零とかSIRENとかジャパニーズホラーブームの今の時代にこそ読みたい。「呪い」というとおどろおどろしい丑の刻参りなんかが浮かぶものだけど、じゃあ歴史的にはどういうものだったのという事に答えてくれる。また呪いから「ケガレ」の話に進み、その結果としての政治の話へ進む。といっても「呪いが効くか効かないか」なんて話は専門外ということで書いてないです。2012/05/22
秋野八尋
2
「呪い心」をキーワードに、個人や集団における「呪い」とその成就による浄化、という仕組みをある種のコミュニケーションとしても捉えている視点がとても興味深く面白い本でした。2011/09/25




