内容説明
最高打率を誇るセネターズのスター新海清が好打を放ち、走塁中に突然倒れ、絶命する。4万人が注視する真っ只中での不慮の出来事だ。観衆の1人だった高山検事が死の真相を追うが他殺の確証は掴めない。この検事が苦悩する人間性を中心にストーリーは進展し、焦点へじりじりと迫る。日本探偵作家クラブ賞に輝いた会心作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
浅木原
5
衰え始めたベテラン四番打者が試合中に突然倒れて死んだ。病死か他殺か? という1958年のプロ野球ミステリ。うんまあいかにも古いミステリですね、という感じの作品。四万人の観衆の中での不可能犯罪ものかと思えば別にそのハウダニット方向にはいかず、他殺の確証すら掴めないまま検事の勘頼りの捜査行が続くので、イマイチ謎自体に興味を維持しにくい構造。事件の構図自体の転換や、死んだ四番に代わってレギュラーを獲った若手選手の物語によってタイトルの意味が最後に転調するところなどに光る部分はあるけど、全体としては古臭いですね。2015/07/11