内容説明
『おれは1人の女を自分の好みにまかせて、毎日作り上げようとしているのではないか』(『杏っ子』より)。この父であり、恋人であり、絶対的な存在であった父娘の仲は、現実でも愛を超える重みをもった。’88年は犀星生誕100年。いま長女の胸に、ありし日の父母と家族の像が沸く。この本は現代人に忘れたものを呼び起こす室生家流の生き方。
目次
家族のこと(元日の玉露;七草がゆ;お彼岸のご馳走)
折り折りのこと(ある時計屋;千羽鶴;成人の日;おシャレの悩み)
生きものたち(冬の蜂;天城の熊;よその仔犬)
旅と出会い(松島の雄島;慶州行と犀星の想い出;奈良の下下美亭;螺鈿の小箪笥;備中井山宝福寺)
わが町、あの土地(わが町、大森山王;ぬれ縁の想い出;田端時代の想い出;想い出の軽井沢を味わう)