出版社内容情報
夫も仕事も失い、生きる気力をなくした美紀。最後の旅のつもりで訪れた鎌倉の片隅で、台湾茶カフェ「鎌倉茶藝館」を見つけ、魅入られ、働き始める。お茶や着物、古都の穏やかな日常に触れ、明るさを取り戻す美紀。そんな彼女に、年齢も性格も違う二人の男性が好意を持ち始めた。
今の私に必要なのは、安らぎ? それとも、灼けるような想い? ――苦みを知るから、決められない。
名手が描く、大人の恋。
【目次】
内容説明
夫と死別。勤務先も倒産し、生きる気力を失った美紀。最後の旅先に選んだのは、青春の記憶が残る鎌倉。しかし思い出の地の山中で道に迷い、美紀は古い洋館の台湾茶カフェ「鎌倉茶藝館」に飛び込む。そしてそのたたずまいとオーナーの老マダムに惹かれ、働き始める。お茶。着物。古都の日常。心うるおす文化や人々に触れ、美紀は前向きな気持ちを取り戻す。―そんな彼女に、まったく違うタイプの男性二人が、同時に好意を持ち始めた。名手が描く、大人の女性の戸惑いと決断。
著者等紹介
伊吹有喜[イブキユキ]
三重県生まれ。中央大学法学部卒業。2008年『風待ちのひと』でポプラ社小説大賞特別賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
200
伊吹 有喜は、新作中心に読んでいる作家です。本書は、古都 鎌倉を舞台にした年の差恋愛譚、最期にサプライズが欲しかった気がします。鎌倉が舞台の恋愛小説、故 立原正秋をふと想い出しました。 https://books.kobunsha.com/book/b10144765.html2025/09/30
道楽モン
98
台湾茶と和服という著者自身の愛する伝統文化を背景に、新しい恋愛の中で失った自尊心を取り戻すアラフォー女性の再生物語。鎌倉が舞台というのも伊吹有喜らしさが全開で大歓迎なのだが、中心となる三角関係の仕組みに、どうにも魅力が感じられない。何やってんだか主人公。何やってんだ息子。まあ選択の誤りは大人としての未熟さの表現なのだろうが、たどり着いた地点は彼女の成長よりもむしろ周りの大人たちからのバックアップに依存している感じ。伝統文化を託すマダムが、彼女を後継者として選んだ理由の説得力が弱い。脇役の方が魅力的だし。2025/09/19
のぶ
97
伊吹有喜さんというとアットホームな雰囲気の作品が多かっただけに、まるで違った趣向に驚かされる。しかし、新たな境地を開く挑戦という事で良いと思います。人生の終盤という気持ちでいた主人公の美紀が、ビジネス、性愛と新たな局面にぶつかり、自分の人生はまだ終わりではなかったと気付き、新たな人生に向かって足を踏み出すという、意欲的なストーリー。鎌倉の街の雰囲気、女性の恋愛事情、お茶のその味わいの深さ等、様々なものが入り混じって、多面的な感じ方のできる作品だった。2025/09/07
ゆみねこ
88
大人の恋の物語は今ひとつ馴染めなくて苦戦。美紀という女性に鎌倉茶藝館を託そうと思ったマダムはどこに惹かれたのかな。20歳歳下のかっての恋人の息子に溺れたり、私には理解し難い。着物・お茶・花、そして海と山の美しい鎌倉、舞台は最高なんだけどなあ。そして美紀さん、スミレを知らないなんて…。亡き夫の姪が嫌な女でインパクト大。2025/10/02
星群
87
初読み作家さん。古都・鎌倉での大人の恋。紫陽花、寺院仏閣、台湾茶、私のキュンキュンするものが盛り込まれた一冊。一度は行ってみたい、鎌倉でもある。出来れば、恋愛色は薄めで読みたかったかなぁ。いや、それなりに盛り上がったけど、結局何も残らなかったのが切ないかな。あー、行ってみたい、鎌倉!2025/09/20
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