出版社内容情報
思想家・内田樹が紡ぐ25のエッセイ。インプットの方法、アウトプットの原則、学術の意味、複雑化する社会での教育、若い読者へのメッセージまで、知性の本質を縦横無尽に展開する。学問と実践、リベラルと保守、知性と宗教――対立するように見える概念の間を自在に行き来する内田哲学の真髄がここにある。混迷の時代を生き抜くための知の在り方を示し、現代人凝り固まった常識を打ち砕いてくれる一冊。
内容説明
「これまで一度も書かれたことのない本になりました」自由に考えるレッスン。韓国の若い人からの質問に触発された根源的な話。
目次
1章 何を学ぶか(弟子という存在;メンターは必要か ほか)
2章 自由自在に考える(学問を業とする;独創的観点とは ほか)
3章 自分の直感を磨く(「外国語の勉強」の意味;翻訳の本質とは ほか)
4章 何をどう書くか(ジャンルを横断して研究する理由;教育を語る原動力とは? ほか)
5章 誰もしそうにない仕事(生活者と専門家の間にいつづけるのは?;リベラルと保守の間 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
江口 浩平@教育委員会
25
【思想】内田樹先生の新刊ということもあり、タイトルに惹かれて手に取った一冊。韓国の若者からの質問に答える形で、自伝のように自らの学びの遍歴を答えているところが興味深かった。内田樹先生の師弟論や学習論の根底にあるものを知ることができると同時に、自分もどのようにこれから学んでいくか考える契機となる一冊であると思った。2025/06/08
おさむ
16
韓国の読者からの質問に内田センセイが答える趣向。日本人と異なり、ストレートな質問も多かったりする。とはいえ、答えはブレません。自分にはわからないことや共感できないことを喉に刺さった魚の小骨のように気にかけ続ける。知性とは集団的に発現する。自分らしさに居着いてはならない。読書肺活量が少ないと、自分でもわかる事を探し出してつまみ食いした要約する。ややこしい話を書く場合は自分のヴォイスで語ることが必要。無心になれば、枠組みが無効になる。「最も重要なのはあなたの心と直感に従う勇気」には若い頃に出会いたかったなあ。2025/06/18
のっち
12
☆☆☆☆ 本書は韓国の若者の質問に内田先生が答えるQ&A形式の書籍で、テーマはズバリ知性について。一言で言うと、私の学んできた組織論を更に壮大なレベルで体現されているのが内田先生なのである。読みながらたくさんの箇所に付箋を付けたが、おそらく核となるのは、個人のではなく集団のパフォーマンスを向上させるためにどうすれば良いのかを常に考えること。そして周囲の人々の知性を活性化させることのできる者が、真の知性的な人だという点にあると思う。個人の知を集団の知と昇華させれば、その集団の規模もグッと大きくなるだろう。2025/06/12
Ryuya Matsumoto
8
韓国の方からの様々な質問に答えるという形で全体として「知性」について考える本。一つ一つのトピックは、これまでどこかで読んだような内田先生のいつものお話が多いのだけれど、それが違う文脈の中で再構成されると、これまでとまた違った示唆があった。〈読者が本を読んでいるうちに、急に立ち上がって、部屋の中をぐるぐる歩き回るような、そういう「なんだかよくわからない反応」を始めるような、そういう読者の心と体に直接触れるようなものを書きたいんです〉という内田先生。私、まんまとやられてます。2025/06/07
Kooheysan
4
「知」についてのお話。同じような話はこれまでの著作で何度も読んでいる気はしますが、今回も今回とて、見事に懇請を受けて、途中でやめず最後まで一気読みしました(笑)。個人的に『街場の文体論』『複雑化の教育論』『武道論』のよい復習になりました。以下、今回のお気に入りフレーズメモ…「みんなで楽しく生きてゆきましょう」「自分がどれぐらい賢いかなんて、どうだっていいじゃないですか。」確かにこの辺りを切々と話せるのは内田先生の凄さだと思います。2025/06/09