出版社内容情報
吹雪に閉ざされた山荘で若い男の死体が発見される。だがそれは、続く惨劇の序曲に過ぎなかった。被害者が2人、3人と増える中で、残された者たちは互いに疑心暗鬼に陥る。彼らの精神状態が極限に達し、自らに眠る獣が牙を剥いた時、誰も予想し得なかった地獄絵図が繰り広げられる……。近年、旧著が続々と復刊される飛鳥部勝則の作品のうち、最恐の衝撃作が、20数年の時を経て待望の文庫化!【解説】阿津川辰海
内容説明
吹雪の山荘で起きた連続殺人。残された者たちは互いに疑心暗鬼に陥り、次第に精神的に追いつめられていく。「突きとめられないなら、全部殺してしまえばいい」。焦燥感が極限に達したとき、己の中の“獣”が牙を剥いて、舞台は凄惨な地獄絵図と化す…。近年、旧著が続々と復刊される飛鳥部作品の中でも“最恐”の衝撃作が、二十数年の時を経て待望の文庫化!
著者等紹介
飛鳥部勝則[アスカベカツノリ]
1964年、新潟県生まれ。新潟大学大学院教育学研究科を修了。’98年に『殉教カテリナ車輪』(東京創元社)で第9回鮎川哲也賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yukaring
73
吹雪の山荘に驚きの要素が加わり、見たこともない結末へと向かっていく…。そしてこれが面白い!まだ著者は2作目だがこの世界観とトンデモ具合がきっと飛鳥部さんの通常運転。「殺されるかもしれない」不思議な依頼人・美夜のボディーガードとして彼女の帰省へ付き添う探偵の杉崎。着いた早々に彼らを出迎えるのは自殺したとおぼしき青年の死体と屋敷に集まっているのはひと癖もふた癖もありすぎる変人達。そして猛吹雪のなか連続殺人は起こる。追い詰められた人々が牙を向き舞台は凄惨な地獄絵図と化す。予測不能のラストがとにかく強烈な1冊。2025/05/08
雪紫
68
文庫にて再読。22年の時を経て文庫に。「黒と愛」前日談にして「今」の飛鳥部さんの作風を簡潔に説明するのに相応しい1冊。やっぱり伏線も出て来る奴らもイカし・・・いや、盛大にイカれてますわ(もうやだ家族愛ほとんどなし!)。でも好きなのよこの世界(あれ、飛鳥部さん同姓同名そういう認識なの?)。そして阿津川さん、貴方飛鳥部さんの短編どんだけ抑えてるの(うらやまっ!)2025/04/12
オフィーリア
54
定番な吹雪の山荘本格ミステリに妖しく漂う暴力と怪物の気配。“バトル漫画の登場人物を吹雪の山荘に押し込んだら意外と真面目にミステリしてる”的な今にもジャンルの変わりそうな緊張感を秘めた着地点の見えない物語は、最後にド派手な花火をぶち上げる。そうこなくちゃ!2025/07/17
Bugsy Malone
51
ノベルズで読んだことがあるけれど文庫本が出たので漸く手にした「黒と愛」を読む前に再読。以前読んだのは12年前で読んでいるう内に思い出すかなと思っていたら、全く覚えておらずもう初読状態。今読むと導入からのめくるめく展開にのめり込む程。12年前は受け付けない何かが自分の中にあったのか。何故記憶の端にも残って無いのか。もしや何者かに記憶が消されたのか?2025/06/01
森オサム
48
いやー、凄かったですねー、凄かった。まず序章を読み本作はSF、ホラー系の話なのか?、と考える。そう言えば背表紙にも帯にも、本格推理とかミステリとか書いて無いな、と気付いた。しかし読んで行くとどうにも吹雪の山荘での連続殺人にしか思えず、やはり推理小説なのか?、では序章がフェイクなのか、と惑う。途中不思議なセリフ等で匂わされながら、とは言えオチは予測出来ないまま、とにかく面白いし読み易いのでスルスルと(ノンストップでどんどん死んでいくしね)進んで行った所…、終盤凄かったの(笑)。カルトだねぇ、気に入ったけど。2025/06/29