出版社内容情報
油屋『出羽屋』の離れで放蕩息子一郎太が喉を突き、自ら命を絶ったという。主、忠左衛門と後添えのお栄に話を訊く同心木暮信次郎はいつになく執拗だ。彼が拘るということは、ただの自死ではないのかーー。研ぎ澄まされた刃を封印し、揺るぎない商いの未来に情熱をそそぐ遠野屋清之介、岡っ引が天職の伊佐治、そして、清之介を獲物ととらえ、歪な眼差しで人を見る信次郎。男たちの感情が静かに熱くうねり合う、弥勒シリーズ最新刊!
内容説明
狂おしい闇 絡み合う情動。ニヒルな同心信次郎×元刺客の商人清之介。男たちに果てはあるのか?油屋の放蕩息子の不審な死。江戸に生きる人間たちの業に迫る。
著者等紹介
あさのあつこ[アサノアツコ]
1954年岡山県生まれ。「バッテリー」シリーズで野間児童文芸賞、日本児童文学者協会賞、小学館児童出版文化賞を、『たまゆら』で島清恋愛文学賞を、「弥勒」シリーズ、「おいち不思議がたり」シリーズ、「闇医者おゑん秘録帖」シリーズで日本歴史時代作家協会シリーズ賞を受賞。児童文学、青春小説、SF、ミステリー、時代物と、幅広いジャンルで活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
131
待っていました。シリーズ最新作は第13弾!前回の不穏、八代屋の大番頭が木暮様と何を企む?木暮様がどんなに怜悧でデキる男であるとしても、その先に何を見ているのだろう。それが不安なのだな私は。『滅』という言葉が浮ぶのは思い過ごしか。そこには受けて立つ遠野屋がいるからだ。いい加減に決着してと思う心と、永遠この間合いが続きますようにと願う心が揺れる。2人を際立たせる伊佐治の存在感が半端なく、私を現実に戻してくれるのが有難い。全くあさの作家このシリーズの結末をどうしてくれるのだろう(私が生きてる内にお願いしたい)2025/04/08
はにこ
59
大店の倅の自殺を追う親分さんと、新しい商いに情熱を傾ける清之介のそれぞれの話が進む。倅の自殺、少ない手がかりからよく推測できるな。すごいわ。そりゃ親分みたいに教えてくれってなる。清之介は商人として生きていこうと頑張っているのに、余計な茶々をいれてくるの腹立つな。悪いことしている訳じゃないんだからそっとしておいてよね。。2025/05/05
がらくたどん
55
冒頭に小暮の旦那の妙な動きはあるものの、信次郎・伊佐治コンビが追う大店の若旦那不審死事件の捕物と遠野屋が因縁の八代屋から新たに請け負う商品開発の商いは交わるようで交わらず話は進む。帯には「絡み合う情動」とあるのに信次郎と清之介が絡まない!信次郎に絡まれない清之介。何なんだこの平穏。返って不穏だ。「人道を外れた妖かしみてえなやつってのはいるんだよ」まったくどの口が。ねえ伊佐治親分「旦那は灰汁が抜けないまま、ここまで来たってわけでやすね」って今回ばかりは特にそう思いましたよ。春風は時に嵐。どうなるんだろう・・2025/05/05
ひらちゃん
42
前作の最後があまりにも気になっていた。それを目撃してしまった伊佐治の動揺っぷり。そりゃ家族だけでなく遠野屋にもバレバレだよね。事件は密室で起きた自殺とみられる遺体。しかし信治郎は気になっている様子。少しずつだけど見つけた違和感の先にとんでもない事実があった。そして商いも順調な遠野屋にも。ずっと2人の絡みを見ていたい。ゾクゾクするような彼らを。この先何が待っているんだろう。知りたくもあり、知ったら終わってしまう怖さもある。どうしてくれよう。2025/04/24
猫ぴょん
40
シリーズ13作目✨ このシリーズ初めて文庫本化を待たずに、 ハードカバーで買っちゃったよ💦 カバーにさ、「男たちに果てはあるのか?」って😅いやホントいつ終わるんだろ? そろそろ決着つけてよ〜からの。 ほぉ😳やるじゃないか清之介! つーか、信次郎の本音は何なんだろうなぁ。 さて。 今回の事件は嫌〜な後味でしたな。 いつもだけど今回は特に。 遠野屋の輝く未来と、信次郎との関係の対比がたまらない1冊でございやした←伊佐治風の呟き🤣。 2025/04/09