出版社内容情報
小さな花屋「フラワーショップ橘」の店主志奈子は、50歳を過ぎて地元の刑事、横山昇司と結婚した。白薔薇、桜、ガーベラ、馬酔木……。物言わぬ花たちが、事件に埋もれた真実を、うやむやにされそうになった死の真相を静かに語ってくれる。不条理な殺人事件をめぐる、六つの愛憎ミステリー。
内容説明
小さな花屋「フラワーショップ橘」の店主志奈子は、50歳を過ぎて地元の刑事、横山昇司と結婚した。白薔薇、桜、ガーベラ、馬酔木…。物言わぬ花たちが、事件に埋もれた真実を、うやむやにされそうになった死の真相を教えてくれる。不条理な殺人事件をめぐる、六つの愛憎ミステリー。その感情を静かに見つめる妖しい花たち。
著者等紹介
宇佐美まこと[ウサミマコト]
1957年松山市生まれ。2006年「るんびにの子供」で第1回『幽』怪談文学賞を受賞してデビュー。2017年『愚者の毒』で日本推理作家協会賞を受賞。2020年『展望塔のラプンツェル』で山本周五郎賞候補に。作品は、ホラー、怪談、ミステリーと多岐にわたる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
265
四月の第一作は、宇佐美 まことの最新作、宇佐美 まことは、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 本書は、花に纏わるミステリ連作短編集。オススメは、 「馬酔木の家」&「弦楽死重奏」です。 https://books.kobunsha.com/book/b10131251.html2025/04/01
のぶ
171
花をモチーフにして語られる、6つの事件を描いた作品集。小さな生花店<フラワーショップ橘>を営む志奈子は、事件捜査がきっかけとなって地元所轄署の刑事=横山昇司と知り合い、2年前に結婚。共に50歳過ぎ、お互いに初婚。それぞれの話にフラワーショップ橘が絡んでいる以外は独立した話。その中の一篇で引退を決めたカメラマンの中川要一、かつて賞を受けカメラマンの地位を確立した作品が、「家族写真」というタイトルを付けた作品で面白かったが、それ以外はあまり心に響かなかった。もう少しじっくりしたものが希望です。2025/02/10
いつでも母さん
167
「フラワーショップ橘」を営む志奈子は50歳を超えて刑事・横山昇司と結婚した・・何々そこから何か事件が起きるの?ってせっかちにもほどがある私(汗)花がキーとなる6話の短編集。そう、事件は起きた。愛憎のミステリーとある。サクサクと読める。宇佐美まことテイストを感じたのは『クレイジーキルト』と『家族写真』私の好みだった。2025/02/12
モルク
150
50歳を過ぎてから縁あって結婚した花屋「フラワーショップ橘」を営む志奈子と刑事の横山夫婦のもとに舞い込む事件を解く6つの連作短編集。花言葉や花粉まで、花から解き明かす謎。ほんの少しずつのずれが重なって人生が狂ってしまった「クレイジーキルト」と人の縁を感じさせる「家族写真」が好き。不思議と優しい気持ちになれるミステリー。2025/04/25
ちょろこ
146
花屋を営む妻と刑事の夫を中心に巡る、謎解きが導く人生模様の一冊。相変わらず宇佐美さんは小物を活かしてストーリーを練り上げるのが巧い。今回も花はもちろん、キルトや写真まで…。花も角度によって思わぬ表情を見せるように、さまざまな角度から照らし出された事件の裏側に潜む感情の渦巻きは時に苦く、時にせつなさを運んだ。偶然の積み重なりの行き着く先を対照的に描いた「クレイジーキルト」と「家族写真」が秀逸。人が少なからず抱える消化できない思い、報われる思いになんだか心撫でられた感覚。うん、いいなって思える、そんな短編集。2025/02/18