出版社内容情報
みんな死ぬよ 誰も帰れない
ホラー映画撮影スタッフを襲う悪夢のような事件。
元アイドルのバスツアー参加者たちが語る戦慄の一夜。
保育士と母親の連絡日記から浮かび上がる歪んだ日常。
小学生時代の不穏な事件に隠された薄気味悪い符合。
穢れと禍いの最高到達点。
どこまでも不快で、どうしようもなく愉しい、暗黒奇譚集。
内容説明
ホラー映画撮影スタッフを襲う悪夢のような事件。元アイドルのバスツアー参加者たちが語る戦慄の一夜。保育士と母親の連絡帳から浮かび上がる歪んだ日常。小学生時代の不穏な事件に隠された薄気味悪い符合。恐れと禍いの最高到達点。どこまでも不気味で、どうしようもなく愉しい、暗黒奇譚集。日常は檻だ。普通の人々は敵だ。だからホラーを、怪談を。8つの異形の物語を。
著者等紹介
澤村伊智[サワムライチ]
1979年、大阪府生まれ。2015年「ぼぎわん」(刊行時『ぼぎわんが、来る』に改題)で第22回日本ホラー小説大賞を受賞し、デビュー。’17年、『ずうのめ人形』で第30回山本周五郎賞候補。’19年、「学校は死の匂い」で第72回日本推理作家協会(短編部門)を受賞。’20年、『ファミリーランド』で第19回センス・オブ・ジェンダー賞特別賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろこ
117
恐怖、巧さを味わえる一冊。つくづく澤村さんはさまざまな手法とさまざま角度で恐怖を突きつけてくれる作家さんだと思う。今作の短編集はどれも異形とつくだけあって、ぼやけた輪郭の恐怖の塊たちにゾクゾク。ゾンビには臭気まで漂ってきそうな恐怖と人怖の恐怖を。表題作には保育士と親の連絡帳リレーの中に潜んだ恐怖がいつ姿を現すのか…気持ちが逸る時間を味わえた。都市伝説とノスタルジーが絡み合う「くるまのうた」は夕暮れと迫り来る恐怖の重ね合わせの心理的恐怖も実に巧い。そして澤村さんに掌で転がされたようなあの一篇、あれには拍手。2025/01/18
yukaring
98
日常から少し歪んだ非日常へ。澤村さんは恐怖で人を翻弄するのが本当に上手い。必ずしも「ない」とは言い切れない悪夢が繰り広げられる異形の暗黒奇譚集。次々に不幸が起こるホラー映画の撮影現場、呪われた映画の真の完成形とは。ゾンビが実在する世界線、彼らより怖いのは…。元アイドルのバスツアー参加者の恐怖体験。特に印象的なのは「くるまのうた」移動販売車のアナウンスをこんなに不気味に感じたのは初めてで根源的な恐怖が呼び覚まされる。そして最後の自作解説にはすっかり騙されてしまったが、真相がわかった時にはホッとひと安心した。2025/01/19
sayuri
64
本を読む時はネタバレの注意書きがない限り、いつも巻末の解説から読み始める。今回は澤村さんご自身による自作解説とあって楽しみに読み始めた。なのにページを捲るごとに大好きな澤村さんへの嫌悪感が増していく。え?こんな人だったの?あまりにもショックが大きい。ネタバレになるので内容は明かせないが、澤村さんにかなり感情を搔き乱された。そして、今回の異形短編集も禍々しさ満載。得体の知れぬモノに日常が脅かされる恐ろしさに背筋がひんやりとした。保育士と母親の平穏に見えた交換日誌から、思いも寄らぬ結末を迎える表題作に震える。2025/01/29
aquamarine
61
澤村伊智異形短編集とサブタイトルにある通り、初出は「異形コレクション」からのものがメイン。現実のあれこれを思い嫌な気持ちになった「ゾンビと間違える」の最後の展開は映像で見えるように心に残った。保育園と保護者の間の連絡ノートで綴られる表題作のラスト二行もジワリと効いてくる。桃太郎に絡めた「鬼~」が意外と一番好きかもしれない。「自作解説」のインパクトも抜群。どれも40ページに満たないほどの長さだが、じわじわと首を絞められるような息苦しさを感じる物語。澤村さんの技巧を堪能。2025/02/08
ごみごみ
58
多種多様な恐怖心を煽られる8話の短編集。いわゆる都市伝説って、よく考えてみると辻褄が合わないあり得ない話が多い。モニターに映り込む何かも、人を襲うゾンビも、頭の大きな毛のないコウモリのような生物も、不気味な歌が流れる移動販売車も、全て人間の病んだ心が作り出した幻だと思いたいが・・怪奇を信じたくない私の願望に過ぎないのかも。どれもリアルで怖気が走る。「自作解説」に胸焼けのような不快感を感じたのも、完全に著者の手中にハマっていたから、だったんだ!2025/01/18