出版社内容情報
農家の少年が動物の生と死に向き合いながら成長していく自伝的中篇「赤い小馬」、語り手が綿摘みの一家と朝食をともにする名作「朝めし」、その他評価の高い短篇「菊」、「白いウズラ」、「蛇」、「装具(ハーネス)」、「正義の執行者」、さらに2014年に発見された幻の掌篇「銀の翼で」を本邦初訳として収録。
内容説明
農家の少年が動物の生と死を目の当たりにする自伝的中篇「赤い小馬」、語り手が綿摘みの一家と朝食をともにする名作「朝めし」、その他評価の高い短篇「菊」、「白いウズラ」、「蛇」、「装具(ハーネス)」、「正義の執行者」、さらに2014年に発見された幻の掌篇「銀の翼で」を本邦初訳として収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くさてる
17
傑作選だけに既読のものも何作かあったけれど、どれもまさに傑作なので再読できて良かった。「赤い子馬」や「朝めし」のような30年代アメリカの空気が感じられる豊かな描写と美しさ、きれいごとで終わらない残酷さがある短編も良かったけれど、やっぱり「蛇」「装具」「白いウズラ」などの人間心理の深い部分を抉ったような作品が好き。より社会派的な「正義の執行者」「銀の翼で」も良かった。おすすめです。2024/11/13
ワタ
7
1920年代カリフォルニア、農場の暮らしと少年ジョディの成長譚にこれほど夢中になれることに、驚かされた。西部開拓時代が終わっても、人々はまだ自給自足的な暮らしを続けており、自然は極めて身近だ。文章は簡潔でどこか観察的ながら、動物や自然の描写は詩的で美しい。読後、自分以外の誰かの人生が語られることでしか得られない余韻を感じる。2025/08/04
ハッカ飴
7
広いアメリカの大地を感じるような物語たちでした。解説が詳しいので作品に対する理解も深まりますが、私は単純に命の厳しさ、自然の美しさ、少年の成長、老いの哀愁などが染みてくるなと思いました。とってもよかったです。2025/02/06
鴨の入れ首
5
2024年刊。図書館本です。表題作目当てに借りましたが、その作品もアメリカ社会の厳しさや哀愁を冷徹な筆致でよく表していて、とても興味深かったです。2025/03/12
スリルショー
4
「赤い子馬」、素晴らしい小説だった。心が和むとは、こういうことを言うのだろう。余分な修飾語を排した、抑制が効いた文体が読みやすく、全体的に劇的に効果も狙っている。他の短編も登場人物の性格を周りの風景や状況とのマッチングをうまく利用して、読者を引き込んでいく。「装具」は、ジギルとハイド+αでおもしろい。2025/04/22