出版社内容情報
南アルプスで山岳救助に従事する隊員・深町の友人が、登山界で権威ある賞を受賞した。彼の父親もまた登山家であり、息子に技術を惜しみなく伝えたからこその栄光だった。だが、ある日、その父親が姿を消した。周囲の人間は行方をなかなか掴めなかったが、深町だけがある確信を抱き、隊員達と北岳に向かう(表題作)救助隊と3匹の救助犬たちの懸命な活躍を描く、バラエティに富んだ8つの連作短篇。
内容説明
父親に教えを請い、登山に人生を捧げる登山家の息子は、数々の偉業を達成し、ついに権威ある賞を手にする。その直後、父親が失踪した。(表題作)米軍機の低空飛行が引き金になり、雪崩が発生。二人の若者が巻き込まれ、遭難してしまい…。(COLD WAR)雄大な北岳を抱く南アルプスを舞台に、山岳救助隊と救助犬のレスキュー活動の日々を描く8つの物語。
著者等紹介
樋口明雄[ヒグチアキオ]
1960年山口県生まれ。2008年に上梓した『約束の地』で第27回日本冒険小説協会大賞と第12回大藪春彦賞をダブル受賞。’13年、『ミッドナイト・ラン!』で第2回エキナカ書店大賞を受賞。南アルプス山麓に居を構え、執筆する日々を送っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タイ子
82
Kー9シリーズ。8作による短編集。南アルプス北岳の山岳救助隊と救助犬の物語。山で起こりえる救助と捜索をリアルに感動的に読めるので毎回楽しみにしているのだが、本作もどのエピソードもジワリと来るのでウルウルしながらの読書。一番印象の残ったのは、北岳上空を低飛行で飛ぶアメリカの軍用機。それがもたらしたなだれの犠牲者。こんなことが法律上許されているんだってことに驚き。他には山小屋で登山者を脅してお金を巻き上げるヤツがいたり、ハラハラドキドキもあって面白い。何と言っても救助犬のメイ、バロン、リキの活躍が頼もしい。2024/08/18
ゆみねこ
79
K−9シリーズ第14弾。時系列的には「紅い垂壁」の前日譚になると。シリーズ開始から12年、しかし作者のあとがきによれば「クレヨンしんちゃん方式」で彼らの時間を止めて物語を書いているとのこと。メンバーも犬たちもいつまでも活躍してくれそうで安心。今作は8つの短編。犯罪者と対峙したり、米軍の訓練飛行で雪崩が起きて巻き込まれた人を決死の思いで救出したり。ハラハラドキドキもあり、犬たちの活躍も!ずっと読み続けたいシリーズ。2024/09/09
goro@the_booby
52
異なる五つの出版社から刊行されるシリーズなんて他にあるのか知れないけど凄いよね~今回もキリリと光る短編集となってます。静奈姐さんファンとしては少し残念だけどどれも巧みに料理されてるし、納富さんがまたカッコいいでしょ。今年は両俣小屋へ行ってみようかななどと思ってしまうのです。2025/04/22
ポチ
43
短編8作。まるまる北岳での山岳救助隊や山小屋の番人の話なのが良いですね。心を打つ話も多く、勿論メイ、バロン、リキの活躍も嬉しいです。実際にありそうなこんな話はもっともっと読んでいたいです。2024/08/28
ぽろん
34
今回は、短編集。私達にとっては、大事件でも、救助隊員の方々にとっては、日常。どの話も面白く読みました。あとがきによると、このシリーズでは、救助犬達も歳をとらないそうです。そこは、嬉しい。ただ、夏美と深町さんの関係性は、ちゃんと進展して欲しいなあ。2024/12/22