出版社内容情報
江戸の東の端、砂村新田の葭原で、隠居した北町奉行所の元同心、神門達四郎の惨殺死体が見つかった。隠密廻り同心の萬七蔵は、同僚や市井での評判もよく愛想のよかった隠居に、裏の顔があったのではと疑う。33年前に同じ砂村新田で荼毘に付された女の弔いを見守っていた一人の童子。人々の悪意と報復の思いが、七蔵の眼前で交差する。
内容説明
深川のさらに東、砂村新田の中洲で、隠居した北町奉行所の元同心・神門達四郎の惨殺死体が見つかった。隠密廻り同心の萬七蔵は、同輩の間や市井での評判もよく愛想のよかった隠居に裏の顔があったのではと疑う。遡って三十三年前、砂村新田で女が荼毘に付されていたことが、まさかの真実につながっていく―。悪意と報復、慕情と哀切が、七蔵の眼前で交差する!
著者等紹介
辻堂魁[ツジドウカイ]
1948年高知県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、出版社に勤務。退職後、本格的に執筆業に入る。江戸情緒、人の情、そして迫真の剣戟あふれる作風には定評があり、人気沸騰中の作家である(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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真理そら
47
辻堂作品らしく切なさやりきれなさ漂う読後感。冒頭の「かか」の話でほぼ想像がつく展開なので読者はその流れに浸って哀しさを味わうことになる。久々の夜叉萬は少し人間が丸くなっている気がした。夜叉萬シリーズらしくろくでなしの同心が登場するのも懐かしかった。2024/08/10
ぶんぶん
23
【図書館】夜叉萬同心シリーズ、第10弾! ひとりの隠居した同心が殺された、七蔵が探索を始めるが。 好々爺と思われた隠居同心の古傷が綻び始めると、そこには・・・相変わらずの七蔵だが、ちょっと勝手が違うみたい。 罪と罰の間に揺れ動く七蔵の葛藤とは。 四季の移ろいと共に七蔵の心の揺れを描く好編。2024/11/25
kazukitti
5
辻堂さんの描写の変化なのか、テーマの変化なんかわからんけど、こうシリーズタイトルの「夜叉」萬っぽさはなくなってきたのかなぁ。市兵衛もそんな感じだけど、方向としては別所龍玄のシリーズに近くなっちゃったのかしら。こう、映画でも風景描写、漫画でもフツーは死にゴマ(時系列の説明背景)として描かれる部分を敢えてやってるっつーか。だから、ドラマが淡々として尺が短くなっちゃうってゆーか。いや、そういうのは嫌いじゃないけど、それは介錯人の方でやって欲しくて、夜叉萬とか市兵衛には求めてなかったっつーか。2024/12/25
あき
3
序~一章のアタマで話の大筋が見えてしまうのは意図してのことなのか。七蔵たちが犯人に迫るドキドキ感を楽しむ話でもなし、地道な探索で犯人を追い詰めていくという話でもなし。七蔵たちが悪を倒して勧善懲悪スッキリってわけでもない。どう楽しめば良いのか、イマイチはっきりわからない話だった。2024/07/29
gigi
0
萬七蔵らしさ全開のお話です。元同心・神門達四郎、斬殺から始まり、夜叉萬による謎解きが、少しずつ解明されてゆきます。情景や心情が浮かんでくる良い物語でした。2024/10/07