出版社内容情報
鬼が哭(な)く夜は死人が出る――まさか、令和になってまで
終戦直後、中国地方の寒村で起きた惨殺事件。姿を消した犯人の呪いにより、今も犠牲者が出ているというが……。驚愕の呪いの真相とは!?
“どんでん返しの帝王” が因習と伝奇の本格推理を現代に甦らせる! 圧巻の結末(ラスト)!!
内容説明
岡山県姫野村。人口300人にも満たないこの限界集落は、令和の現在も70余年前の呪縛を恐れていた。村人6人を惨殺した巌尾利兵衛の呪いにより、数年に一度、村にある鬼哭山から利兵衛の咆哮が轟き、村人を殺すというのだ―。新型コロナ感染症でパニックに陥る最中、一人の男が東京から移住してきたことをきっかけに、呪いの犠牲者と思しき死者が出てしまい…。想像できない結末が読者を待つ本格伝奇推理!
著者等紹介
中山七里[ナカヤマシチリ]
1961年、岐阜県生まれ。2009年『さよならドビュッシー』で第8回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
317
中山 七里は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 横溝正史的設定でもっとオドロオドロしいのかと思いきや、最期はガリレオ的解決で、どんでん返しも少しキレのない感じでした。しかし閉鎖的な過疎の村で、新型コロナウィルスが流行ったら、壊滅的な状態になるんでしょうね。 https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/97843341032622024/06/21
いつでも母さん
164
タイトルだけでかなり伝わる感じがある。鬼、鬼・・人が鬼になり果てるのは案外簡単なのかも・・心の中には誰しも鬼が潜んでいるのだから。そう思わせる中山さんの本作は、人の弱い心を衝いてきた。閉塞感や因習など集団の怖さフルパワーでドンドン読み進んだが、咆哮や祟りの種明かしはあっけなく(当方比)・・だがしかし、最後の最後にやっぱりこのまま終わらないのが中山さんだとニヤリとして本を閉じた。2024/06/06
hirokun
164
星3 閉鎖的な限界集落を舞台に、因習と伝奇を織り交ぜた推理小説。推理小説の色彩は最後を除けば弱く、私にとっては、コロナの時にもさんざん見られた事実、証拠に基づかないデマ、嫌がらせを思い出させる人の持つ鬼のような様が描かれており、社会派小説としての色彩を強く感じた。これからも特に日本においては、周りの雰囲気に流され、付和雷同的な状況の中で、深く考えることもなく時代に押し流される危険性を強く感じた。2024/06/06
モルク
149
岡山の限界集落姫野村。戦後農地改革により没落した元地主利兵衛が彼を見下す元小作人と家族6人を惨殺し鬼哭山に逃げた。彼は見つからずその咆哮だけが聞こえ、現代でも利兵衛の呪いが語り継がれていた。この因習と閉塞感の村に東京から移住者が。コロナに怯える民は異常に彼を警戒する。更に再び鬼哭山から咆哮が聞こえ人が死んだ。ここまで酷くなくても観光客ではなく住民になるとなると軋轢は多いと思う。そしてこの物語には予想もしなかった結末が待ち受けていた。彼はその後どうなったのだろう。2024/08/29
タイ子
130
舞台は岡山県の寒村。終戦直後にこの村で起こった惨劇が令和の今再び蘇ったのか?物語は300人ほどの村で起こる不可思議な事件。嵐が来ると山が哭く、そして人が死ぬ。過去の亡霊だと村人は騒ぐ、行動が他と違えば村八分になりかねない閉鎖的な村。都会から移住してきた男を排斥しようと村人が躍起になる姿はとにかくおぞましい。全てを他所の人間のせいにする。文中で男が中学生の裕也に言うセリフが的を得ているだけに沁みる。男の正体と村で起こる不可思議な現象は?おどろおどろしいものを期待しすぎたか。が、ラストのどんでん返しはお見事!2024/05/30