出版社内容情報
グローバル化に対応すべく、英語を教授言語とするEMI教育を実施する大学が増えているが、卒業生の中に母語(日本語)の不安を覚える人が現れている。日本語だけでなく様々なことに自信を失い、対人不安や承認の不安を抱えている。本書では卒業生への調査を元に、グローバル人材育成の中身と結果を提示、EMIの実施に一石を投じる。解説では指導教員が、言語習得の臨界期を過ぎた外国語教育に付随する問題を広い視点で論じる。
内容説明
急速なグローバル化に対応すべく、政府は高等教育でEMIプログラム(母語が英語でない地域で英語で教科を教えるプログラム)の設置を進めている。二〇二一年度では四年制大学の四一%が英語による授業を実施、英語による授業のみで卒業できる学部は八八にのぼる。だがこのEMI教育を受け留学を経て卒業した学生の中に、母語である日本語の不安を覚える人が現れている。英語能力による明確なヒエラルキーの中で、日本語だけでなく様々なことに自信を失っている。またグローバル人材として就職した先では、旧来の企業風土への違和感と幻滅も覚えている。本書では卒業生への聞き取りを基に、グローバル人材育成教育の内実を示し、EMIの実施に一石を投じる。第2部で指導教員が、言語習得の臨界期以降の外国語教育に付随する問題を解説。複数言語話者の葛藤をコントロールする方法を考える。
目次
1 EMI教育と学生の不安(いま、なぜ「日本語の不安」なのか?;グローバル人材教育とEMIの現状;やっぱりみんな不安だった―経験者の語りから見る英語ヒエラルキー;補論 帰国子女・みずきの経験と私の経験;学生をつぶす日本の英語教育)
2 解説 苦しみと不安の正体―複数言語使用者への道
著者等紹介
佐々木テレサ[ササキテレサ]
1998年東京都生まれ。2021年早稲田大学国際教養学部卒業、’23年早稲田大学大学院日本語教育研究科修士課程修了。専門は日本語教育学、言語不安、アイデンティティ等。現在、外資系企業勤務。早稲田大学在学中にデンマークコペンハーゲン大学に留学
福島青史[フクシマセイジ]
1967年鳥取県米子市生まれ。早稲田大学大学院日本語教育研究科教授。JICA、国際交流基金の派遣により海外6カ国で日本語教育に従事した後、現職。専門は日本語教育学、言語政策、言語教育政策(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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