出版社内容情報
ある晩、アブジンスキーという強烈なカクテルを飲んだ三谷純之輔。泥酔した彼を自宅マンションに残し、ガールフレンドの南雲みはるは翌日の彼の朝食、リンゴを買いにコンビニに出かけ、そのまま失踪した。「五分で戻ってくるわ」と笑顔で言い残して。姉、友人、行きつけのバーのママ……みはるを取り巻く人々から得られる手掛かりの欠片を集め続けた末に手繰り寄せた真実は――。佐藤正午の傑作、3か月連続新装版刊行第一弾。
内容説明
一杯のカクテルがときには人の運命を変えることもある―。ある晩、泥酔した僕を自宅マンションに残し、ガールフレンドの南雲みはるは朝食のリンゴを買いに出かけ失踪した。「五分で戻ってくるわ」と笑顔で言い残したまま。みはるを取り巻く人々から得られる小さな手掛かりを集め続けた末に突き付けられた真実は―。直木賞作家・佐藤正午の傑作、新装版!
著者等紹介
佐藤正午[サトウショウゴ]
1955年長崎県生まれ。’83年『永遠の1/2』で第7回すばる文学賞受賞。2015年『鳩の撃退法』で第6回山田風太郎賞受賞。’17年『月の満ち欠け』で第157回直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ちゃちゃまるり
26
初読み作家さん。二人で飲みに行った帰りにコンビニにリンゴを買いに行き5分で帰ってくると言った彼女が失踪した。失踪後から一日二日〜八日、二週間、一カ月、半年、五年と時系列に話が進む。序盤は説明的な文章が多く話が進まず、読むのを断念しそうになるが中盤からはテンポアップし楽しく読了。登場人物は悪人がおらず、自分の周りにいそうな人達。主人公の平凡で優柔不断で鈍感な所に共感できた。あの時、別の判断をしていればこうはならなかったのにって話。けど自分は主人公のこの選択も悪くないんじゃないって思った。2025/09/03
チヒロール
16
「月の満ち欠け」以来、佐藤さんの本は2冊め。林檎を買いに行ったまま失踪してしまった彼女を探すお話。前半彼女を探す三谷が失踪彼女に関わりある人を尋ね歩き読み疲れた感はあるが、後半手紙やら三谷の妻の登場でミステリーチックが深まり面白くなる。ズレてる男、なぜ気付かない!年月経ち過ぎて哀愁を感じるラスト。長篇だけど楽しめた。佐藤さんの文体はほんと好みです😊2024/07/16
NICK6
9
面白かった。女の失踪と捜索。当初,男の罪悪感が払拭されない時点では呉越同舟っぽい不仲の関係性での追跡プロセスがはしる。そこでの会話と心理が、深層な細部まで、高水準な明晰さで言語化されている。読み進む程に快感。さて。人生は選択の連続。誤解も偶然も優柔不断な選択も溢れている。もちろん必要十分、真実真剣な選択もあるだろう。けれど完璧には無理だ。さて!しかし今幸せ今満足なら男と女にとってそんな事どうでもいい?後悔はなし?。そうではない。忍び寄る不安があればやってくる。妻の正体。私と彼女の誤解。戻せない時間。 2024/09/01
ponnnakano
4
佐藤正午ファンのため新装版も購入。初読の時は、ダメ男三谷に自分が重なりみはるの前向きさをただ羨ましく思い、再読した時は、まだみはるを羨ましく思う自分にガッカリし悲しくなったのですが、今回はそんなことは忘れて面白く読めた。みはるの前向きさは、羨ましいというよりはいいね!というような少し自分に余裕ができた感覚。自己満足ですが、嬉しいです。担当編集者の佐藤正午評「まったく難しい作家ではありません。極めて情に厚い作家です。理由は書きません。」は作家と編集者の良好な関係性が窺えてとてもよかったです。理由は不要です。2025/06/11
まひろん
4
人生はこうやって動いていくんだと思うとのんきに生きていられなくなりそう。主人公くん、諸堂がだめだよ(笑)佐藤正午さんは初ですが、面白かったです。2025/05/22