出版社内容情報
ある晩、アブジンスキーという強烈なカクテルを飲んだ三谷純之輔。泥酔した彼を自宅マンションに残し、ガールフレンドの南雲みはるは翌日の彼の朝食、リンゴを買いにコンビニに出かけ、そのまま失踪した。「五分で戻ってくるわ」と笑顔で言い残して。姉、友人、行きつけのバーのママ……みはるを取り巻く人々から得られる手掛かりの欠片を集め続けた末に手繰り寄せた真実は――。佐藤正午の傑作、3か月連続新装版刊行第一弾。
内容説明
一杯のカクテルがときには人の運命を変えることもある―。ある晩、泥酔した僕を自宅マンションに残し、ガールフレンドの南雲みはるは朝食のリンゴを買いに出かけ失踪した。「五分で戻ってくるわ」と笑顔で言い残したまま。みはるを取り巻く人々から得られる小さな手掛かりを集め続けた末に突き付けられた真実は―。直木賞作家・佐藤正午の傑作、新装版!
著者等紹介
佐藤正午[サトウショウゴ]
1955年長崎県生まれ。’83年『永遠の1/2』で第7回すばる文学賞受賞。2015年『鳩の撃退法』で第6回山田風太郎賞受賞。’17年『月の満ち欠け』で第157回直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
チヒロール
14
「月の満ち欠け」以来、佐藤さんの本は2冊め。林檎を買いに行ったまま失踪してしまった彼女を探すお話。前半彼女を探す三谷が失踪彼女に関わりある人を尋ね歩き読み疲れた感はあるが、後半手紙やら三谷の妻の登場でミステリーチックが深まり面白くなる。ズレてる男、なぜ気付かない!年月経ち過ぎて哀愁を感じるラスト。長篇だけど楽しめた。佐藤さんの文体はほんと好みです😊2024/07/16
NICK6
8
面白かった。女の失踪と捜索。当初,男の罪悪感が払拭されない時点では呉越同舟っぽい不仲の関係性での追跡プロセスがはしる。そこでの会話と心理が、深層な細部まで、高水準な明晰さで言語化されている。読み進む程に快感。さて。人生は選択の連続。誤解も偶然も優柔不断な選択も溢れている。もちろん必要十分、真実真剣な選択もあるだろう。けれど完璧には無理だ。さて!しかし今幸せ今満足なら男と女にとってそんな事どうでもいい?後悔はなし?。そうではない。忍び寄る不安があればやってくる。妻の正体。私と彼女の誤解。戻せない時間。 2024/09/01
まひろん
3
人生はこうやって動いていくんだと思うとのんきに生きていられなくなりそう。主人公くん、諸堂がだめだよ(笑)佐藤正午さんは初ですが、面白かったです。2025/05/22
読書と紅茶🥰
3
今まで多くの本を読んできたけど、そういや佐藤正午さん初めて読むなあと読み進めたら!抜群のリーダビリティと謎への求心力で気づけば一気に100頁ほど読んでいた。派手な事件もなく密室もトリックも探偵も美男美女もないのに!なんでこんな面白いの😂失踪という誰の身にも起こりうる「現実感」がなんとなく恐ろしく、行間に人の「底意、悪意」なんかが感じられて読み終わってしばらくゾッとした。いやでもさあ…三谷は二股かけといて南雲みはるへの執着心が強すぎるよ😨捨てられたことを認めたくない心理なのかね。2024/06/12
ネルシュン
1
文庫新装版での久々の再読、こんな話しだったかなあ、などと思いながら楽しく読みました。2025/04/06