出版社内容情報
「奇妙な仕事」以降、常に文学界の先頭を走り続けてきた大江健三郎。「飼育」で芥川賞、『万延元年のフットボール』で谷崎潤一郎賞、『「雨の木(レイン・ツリー)」を聴く女たち』で読売文学賞、そして九四年には、川端康成についで日本で二人目のノーベル文学賞受賞者となった。「民主主義者」「平和主義者」と捉えられている大江。だが、大江をそうした物差しだけで測ってよいのだろうか。従来の大江像に再考を迫る。
内容説明
東京大学でフランス文学を学んでいた学生時代の作品「奇妙な仕事」以降、常に文学界の先頭を走り続けてきた大江健三郎。1958年に「飼育」で芥川賞、六七年に『万延元年のフットボール』で谷崎潤一郎賞、七三年に『洪水はわが魂に及び』で野間文芸賞、八三年に『「雨の木」を聴く女たち』で読売文学賞、同年、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛次郎賞、そして九四年には川端康成についで日本で二人目のノーベル文学賞受賞者となった。新しい戦前と言われる今日、代表作を初期から順に読み進めることで、「民主主義者」「平和主義者」としての大江像に再考を迫る。
目次
第1章 三つの処女作―「奇妙な仕事」「死者の奢り」「飼育」
第2章 純粋天皇の胎水しぶく―『芽むしり仔撃ち』「セヴンティーン」「性的人間」
第3章 アナルセックスと赤ん坊殺し―『個人的な体験』『ヒロシマ・ノート』
第4章 オレハ本当ノ事ヲイッタ―『万延元年のフットボール』
第5章 三島由紀夫の死―『われらの狂気を生き延びる道を教えよ』『沖縄ノート』『みずから我が涙をぬぐいたまう日』
第6章 レイン・ツリーとイーヨー―『同時代ゲーム』『「雨の木」を聴く女たち』『新しい人よ眼ざめよ』『M/Tと森のフシギの物語』
第7章 ピンチランナーは生還するか―『懐かしい年への手紙』『燃えあがる緑の木』
第8章 あいまいな日本の私―ノーベル賞受賞講演、沖縄戦「集団自決」裁判
第9章 おかしな二人組―『宙返り』『取り替え子』『憂い顔の童子』『さようなら、私の本よ!』
第10章 大江健三郎の「本当ノ事」―『〓たしアナベル・リイ総毛立ちつ身まかりつ』『水死』『晩年様式集』
著者等紹介
井上隆史[イノウエタカシ]
1963年生まれ。東京大学文学部卒業。白百合女子大学文学部教授。専門は日本近代文学。著書に『暴流の人 三島由紀夫』(平凡社、読売文学賞・やまなし文学賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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