出版社内容情報
1947年。英国軍人のイアンは、戦場で不当に斬首された兄の仇を討つため来日する。駐日英国連絡公館の協力を得つつ少ない手掛かりを追うが、英経済界の重鎮である父親ゆずりの人種差別主義者でプライドの高いイアンは、各所と軋轢を生む。GHQ、日本人ヤクザ、戦犯将校……さまざまな思惑が入り乱れ、多くの障害が立ちふさがる中、次第に協力者も現れるが日本人もアメリカ人も信用できない。イアンの復讐は果たされるのか?
内容説明
1947年。英国軍人のイアンは、戦場で不当に斬首された兄の仇を討つため来日する。駐日英国連絡公館の協力を得つつ少ない手掛かりを追うが、英経済界の重鎮である父親ゆずりの人種差別主義者でプライドの高いイアンは、各所と軋轢を生む。GHQ、日本人ヤクザ、戦犯将校…さまざまな思惑が入り乱れ、多くの障害が立ちふさがる中、次第に協力者も現れるが日本人もアメリカ人も信用できない。イアンの復讐は果たされるのか?
著者等紹介
長浦京[ナガウラキョウ]
1967年生まれ。埼玉県出身。法政大学経営学部卒業後、出版社勤務を経て、放送作家に。その後、闘病生活を送り退院後に初めて書き上げた『赤刃』で2011年に第6回小説現代長編新人賞、2017年に『リボルバー・リリー』で第19回大藪春彦賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
203
長浦 京、4作目です。本書は、敗戦直後英国人将校復讐冒険譚でした。面白くなくはないですが、内容の割に冗長(600頁超)過ぎる気がします。英国人でレイシストの主人公は、読者に共感されないと思います。 https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/97843341020052024/03/01
パトラッシュ
171
敗戦間もない東京に着いた英軍中尉が見たのは、むき出しの欲望をぶつける人のあさましさだった。GHQの米軍高官は権力争いと金儲けに狂奔し、先日までの敵に日本人は恥もなく媚びへつらい、朝鮮人やヤクザは金次第で敵にも味方にもなる。戦時中に処刑された兄の仇討ちが目的の中尉は、不本意ながら日本人と協力したり支援を求めて行動するうちに、自分も彼ら同様の悪だと悟って強固な人種差別の信念が解凍していくのを自覚する。共感できない登場人物ばかりだが、勝者敗者を問わず戦争が人心を荒廃させ英雄など存在しない現実を容赦なく描き出す。2024/02/27
しんたろー
143
長浦さんの新作は1947年の東京が舞台…戦時中に兄を日本兵に惨殺された英国将校・イアンが復讐の為に来日し、様々な事件に巻き込まれる物語。まず、主人公が差別主義者で、アジア人を「猿」と見ている点が珍しい。登場人物たちは皆、一癖も二癖もあって魅力的だし、敵味方が二転三転する展開も面白かった。しかし、ストーリーに強い引力感じず、イアンにも感情移入し辛かったので、600ページ以上のボリュームが必要だとは思えなかった。戦後の情景や会話の妙は著者の腕前が発揮されていて映像的でもあり、飽きる事無く楽しめたのは良かった。2024/03/27
モルク
120
1947年、終戦から2年後アメリカ統治下まだ復興とは言えず混沌とした日本の土をイギリス軍中尉イアンは踏んだ。彼の目的は捕虜となり不当に斬首された兄を殺害した日本兵に復讐することだった。僅か10日間ほどの物語。死んだ兄とイアンは人種差別主義者、日本人を黄色い猿と呼ぶいけすかない奴。展開は早くなかなかのハードボイルド、「リボルバーリリー」ほどの強烈な印象はないが、GHQ内部の抗争、それぞれの思惑のしのぎ合いそこにプライドの高い英国人気質など興味深い。ただラストの結末はいただけない。2024/06/03
ちょろこ
114
復讐ストーリーの一冊。なかなかの面白さ。時は1947年、GHQ占領下の東京で一人の英国軍人が戦場で不当に斬首された兄の仇を討つ、いわゆる復讐ストーリー。自分の知らない時代、しかも敗戦国という立場に置かれた日本、どのように他国から見られていたのかを架空とはいえ興味深く読めたのが良かった。しかし、この主人公の英国軍人イアンのなんと魅力の乏しいことよ。でもその分、女性陣の強さが際立った気がする。ヤクザにGHQ…復讐に絡んださまざまな人間関係と思惑。耳と指の献上は寒気が止まらない。決意の血が入り乱れた時代を堪能。2025/06/03