出版社内容情報
読書メーター of the year2021 第1位! 事故により重度の障害を抱える妻を献身的に支える夫。彼の日課はブログに生活を綴ることだった――。一方、設計士の一志は編集者の妻・摂と将来の家について揉めていた。子供部屋をつくるか否か。摂の考えが読めない一志は彼女の本心を探るが――。四つの物語が問いかける「人間の尊厳とは何か」。著者渾身の長編!
内容説明
事故により重度の障害を抱える妻を献身的に支える夫。彼の日課はブログに生活を綴ることだった―。一方、設計士の一志は編集者の妻・摂と将来の家について揉めていた。子供部屋をつくるか否か。摂の考えが読めない一志は彼女の本心を探るが―。四つの物語が問いかける「人間の尊厳とは何か」。著者渾身の長編!
著者等紹介
丸山正樹[マルヤママサキ]
1961年、東京都生まれ。早稲田大学卒業。2011年、松本清張賞に応募した『デフ・ヴォイス』で作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
dr2006
50
自分の無知さと理解の無さを思い知った。「重度障がいとその介護」がテーマで、到底生成AI等では解説できない繊細で赤裸々な心情が言語化されている。障がいも人それぞれでその介護も様々なバリエーションがある。特に後発的な障がいに対してはケースワーカーの存在が重要で、本人が自分の障がいと生涯を受け入れることの過酷さを知った。読んでいて混乱したが、4つの登場人物のセットによって巧みに構成されている。それがある種の叙述ミステリーとなっているので、映像より小説で堪能する作品だと思う。丸山正樹の他の作品も読んでみたい。2024/09/09
なっち
38
読メのブックオブイヤー2021に輝いた作品で、とても支持されている本ということしか知らずに何の予備知識もなく読んだのが良かった。本当に読後呆然としてしばらく感想などまとめることもできないほどの衝撃だった。あったかも知れない未来を夢想するのは悪いことですか。あの時、あの言い争いさえなかったら…と。まだ今年が始まったばかりだけど、今年1番の作品になりそうです。2024/01/24
アナクマ
29
頸髄損傷者と介護者の夫婦。妊活中の夫婦(設計士)。職場内不倫のふたり(父親は脳梗塞)。脳性麻痺者(中の人)と介護者。生と性にまつわる四つの物語が絡み合う(らしい)連作長編。◉前半_軽い読み口だなぁと進めるも、ジリジリと滲みでるテーマの重さ、現実味。小説の役割のひとつに人生のシミュレーションがあるとすれば次のような場面「放っておくと宿便になります。硬くなって出てこない便を肛門に指を入れて掻き出す、ということを最低でも週に二回はしなくてはならないと思います」とレクチャーされるということ。→2024/04/29
葵
21
奇妙なことを言ったりやったり、不気味で醜い姿になることの、なにが悪い?糞が脚をつたって流れて、なにが悪い?家族に抱きかかえられ、向きを変えられ、食べさせてもらい、下の世話をしてもらうことの、なにが悪い?障がい者は、ただでさえ無理を強いられているんだから、そういう開き直りと逞しさを持って堂々と生きて欲しい。と思う反面、彼女が夫に投げる「あなたが私を介護したいんでしょ?」の言葉はしんどいよ。。正論だけど、言っていいことと悪いことはあるで。。気持ちの振り幅にグッタリです。構成も面食らった。結果、素晴らしかった。2024/03/07
だい
19
【コメント上】事故で重度の障害を負った妻の介護をする夫の苦悩を生活を描いた「無力の王」、 雑誌編集者と設計士の夫婦の不妊治療を描く「真昼の月」、 上司との不倫で身ごもった20代女性を描く「不肖の子」、女子大生とパソコンで交流する脳性麻痺の青年を描いた「仮面の恋」どのストーリーも心にシコリを残していき驚愕のラストに素晴らしい人生について考えさせられます。ただ私は20ページを読んだ時点で作品のキモになる仕掛けに気付いてしまい予想通りの展開に納得しつつもチョッピリ残念な気持ちが残りました…2024/05/29
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- 和書
- 怒涛の人吉田茂伝