出版社内容情報
小さな救世主現る!? 五歳の息子は、新型コロナウイルスがいち早く感知できるらしい。この力を無駄にしてはいけない――。父親が取った思いがけない手立てとは? 「コロナと潜水服」(表題作)ほか人生の哀歓溢れる全五編を収録。愛と奇想の奥田マジックが光るファンタジー短編集。
内容説明
早期退職を拒み、工場の警備員へと異動させられた家電メーカーの中高年社員たち。そこにはなぜかボクシング用品が揃っていた―。(「ファイトクラブ」)五歳の息子には、新型コロナウイルスを感知する能力があるらしい。我が子を信じ、奇妙な自主隔離生活を始めるパパの身に起こる顛末とは?(表題作)ほか“ささやかな奇跡”に、人生が愛おしくなる全5編を収録。
著者等紹介
奥田英朗[オクダヒデオ]
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライター、構成作家を経て、’97年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で第4回大藪春彦賞を受賞。’04年『空中ブランコ』で第131回直木賞を受賞。’07年『家日和』で第20回柴田錬三郎賞を受賞。’09年『オリンピックの身代金』で第43回吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
イアン
174
★★★★★★★★☆☆80年代の洋楽に乗せて贈る奥田英朗の短編集。かつて憧れた初代フィアット・パンダを中古で購入した会社役員の小林。自動で案内されるナビに従って車を走らせると、そこは30年前に若くして亡くなった青年の思い出の地だった…(「パンダに乗って」)。妻の不貞に悩む作家やプロ野球選手の彼氏と結婚したいフリーアナウンサーなど、5人の主人公が遭遇する少し不思議な体験記。いずれも霊的な存在や第六感などオカルトめいた要素を含むが、そこにあるのは怖さではなく心温まるエピソード。コロナ禍に咲いた5つの奇蹟の物語。2024/11/25
ふじさん
102
妻の浮気が原因で古民家に住むことなった小説家に思わぬ出会い「海の家」。早期退職を拒み、追い出し部屋へ異動させられた中高年社員たちが、なぜかボクシングを始めることに「ファイトクラブ」。人気プロ野球選手と付き合うフリーアナウサーが訪れた占い師との顚末「占い師」。コロナウイルスを感知する能力があるらしい息子を信じるパパの身に起こる出来事「コロナと潜水服」。中古車のパンダが導く不思議な出会いを綴った「パンダに乗って」。ちょっぴり切なく、ほんのり笑えて、最後はやさしい人生が愛おしくなるささやかな奇跡の物語5編。2026/02/07
クプクプ
90
奥田英朗の本は初めて読みました。短編集で、オチに共通性があり、全ての話が面白かったです。夫婦や親子の関係を描くのが上手で、男性の読者なら、本能的に好きな作品ばかりでした。「パンダに乗って」はジウジアーロがデザインしたフィアットのパンダの話です。ジウジアーロと言えば、30年くらい前に、社会現象を起こしていた人物で、俺はジウジアーロがデザインした車を運転している、などと自慢しあった時代でした。もちろん、私は別の車を運転していましたが唯一、ジウジアーロデザインの釣りのリールを持っていたのを思い出した読書でした。2024/05/31
ふう
88
5話の短編集。どの話にも〈不思議な存在、不思議なできごと〉が登場します。不思議だけど温かく、家族や生きることが愛おしくなる物語でした。ギスギスした気持ちになることが多い世の中。とくにコロナ禍が始まった頃は、疑心暗鬼にかられたりして辛いことが多かったけど、こんなふうにゆったりとかまえていたらみんな生きやすかったのにと、あの頃の閉塞感を思い出してしまいました。「日本人の昼食は素麺と国会で決まりました。」いいですね。夫婦の問題で父親に味方する娘、左遷された夫を気遣う妻、コロナに振り回されない妻。いいですね〜。2024/10/01
dr2006
79
クスっと笑えて心が温かくなる、優しいオカルト短編集。全然怖くないから⒲超自然的で善良なパワーが夫々の作品のキーとなっている。表題作「コロナと潜水服」は、日々感染者数が報じられてた頃に、不思議な能力を開花させた男の子の話。あれから5年余りが過ぎ、今だから笑って読めるけど、世界がパンデミックになり自分もその中にいて、そして生き延びて今があるんだなって思う。あの頃の恐怖の記憶が薄れているのに気づいた。コロナ禍で人間が得たものを忘れずにいたい。中古のフィアットを購入した男の不思議体験「パンダに乗って」も良かった。2026/02/18




