出版社内容情報
独り暮らしのおもちさんは、持病が悪化し、入院することになった。東京に住んでいる娘と、近くに住んでいる嫁があれこれと世話をやいてくれる。夫が特養にに入ってからは、娘は一日二度、電話をしてくれているし、嫁のトモちゃんは、車で買い物に連れて行ってくれている。
人生最晩年のおもちさんの毎日の、愛嬌と不安、懐かしさともどかしさ。『平場の月』の作者が描く、誰かの助けと共にある生活の、寂しさが胸に迫る。
内容説明
北海道で独り暮らしのおもちさんは八十三歳。東京に住む娘は一日二度、電話をしてくれる。近くに住むお嫁さんのトモちゃんは、車で買い物に連れて行ってくれる。それでも、生活はちょっとずつ不便になっていく。この度おもちさん、持病が悪化し入院することになった―。日々の幸せと不安、人生最晩年の生活の、寂しさと諦めが静かに胸に迫る物語。
著者等紹介
朝倉かすみ[アサクラカスミ]
1960年生まれ。2003年「コマドリさんのこと」で第37回北海道新聞文学賞、’04年「肝、焼ける」で第72回小説現代新人賞受賞。’09年に『田村はまだか』で第30回吉川英治文学新人賞を受賞。’17年、『満潮』で第30回山本周五郎賞候補、’19年、『平場の月』で第161回直木賞候補、第32回山本周五郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
209
図書館の新刊コーナーで見つけて読みました。4年前に読んだ『平場の月』に続いて朝倉 かすみ、2作目です。おもちさん連作短編集、私の母の世代のせいか、リアル過ぎるせいか、主人公にあまり魅力を感じられませんでした。日本にもち子と言う名前の人は何人ぐらいいるのでしょうか❓ (笑)https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/97843341012132024/01/03
ふじさん
102
北海道で一人暮らしをしている女性・おもちさんを主人公にした作品。主人公の現実がユーモラスに語られる。小説を書くきっかけは、朝倉が自分の親の老いを実感したからだとのこと。老いを実感するわが身には、読んでいて思わず頷く場面が多い。どんな人々にも必ず訪れる老い、受け入れがたいが、それをどう受け止め生きていくか。改めて考えさせられた。常に頭を過る日々の幸せと不安、人生最晩年の日々の生活の寂しさと諦めが交差する姿が静かに胸に迫る。2024/01/03
ぼっちゃん
56
80歳をを過ぎ、病気にもなり老いていく主人公がその現実を少しわがままを言いながら受け入れていく姿をユーモラスに描いた物語。先日読んだ『書店員は見た!』でお母さんが施設に入ったので、できるだけ顔を見せに行くというお客様に紹介した本だが、本書でも主人公であるお母さんが施設に入るがそれを重くなく描かれているので紹介するにはぴったりな作品だと思った。2024/06/29
のんちゃん
43
島谷もち子83歳、通称おもちさん。北海道在住、娘、息子は独立。夫は特養入所中。目下一人暮らし。息子嫁が近所なので、時々、様子を見に来てくれる。東京から娘も時々来る。おもちさんはしっかり者だが、日々、いろんな事がぼんやりしてくる。持病の糖尿病も悪化し、病気看護付きの高齢者施設に入る事になる。老いるとはこういう感覚なのだなぁと勉強になる。その中で、作者はおもちさんの現在過去未来を真面目にかつ楽しく描く。杉江松恋さんの解説の様に人生のどの瞬間も、全て美しい、と思える。ゆるやかな落日のオレンジ色の光の中で。2023/12/18
ぷにすけ
33
北海道で一人暮らしをするおもちさんは83歳。何と!私の母が亡くなった年齢と一緒とあって、言うことなすことがよーく分かってしまう(笑)年を取るごとに少しずつ不便になって行きますが、当の本人たちは気持ちが昔のままなんで強気なんよね~。ほんま昭和のヒト桁生まれは強いわぁ~と思った次第・・・。2024/01/29