出版社内容情報
浜尾麻衣は家業を継ぐべく鎌倉にある石材店・石浜に入社した。誠実な人柄で施主の信頼を集める父・隆一と、腕のいい職人の緒方と共に石浜を盛り立てるべく墓石を売る日々を送っていたある日、母の曜子が倒れてしまう--。高価な公営霊園から永代供養、樹木葬、散骨など、時代とともに家族のあり方や墓への考え方が移り変わるなか、石浜をどうしていくべきか? お墓って、なんなんだろう? お仕事小説の名手が贈る感動作!
内容説明
鎌倉にある石材店、石浜の娘・浜尾麻衣は、施主の信頼を集める父・隆一、職人の緒方と墓石を売るのが仕事だ。高額な都立霊園から永代供養、樹木葬、散骨など、時代とともに葬法の考え方も家族のあり方も移り変わっていく。これまで通りの商売をしていていいの?麻衣がさまざまな“葬る”を考えるなか、母・曜子が倒れて―。お仕事小説の名手が贈る感動作!
著者等紹介
上野歩[ウエノアユム]
1962年、東京生まれ。専修大学文学部卒。’94年、『恋人といっしょになるでしょう』で第7回小説すばる新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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信兵衛
23
お墓とは、いったい何のためにあるのか。どういう形で埋葬するのが望ましいのか。 海洋散骨、墓じまい等々その時が来なければ中々考えない事柄であるだけに、本書を読むと改めて、“葬る”ことについて考えさせられます。2023/10/08
coco夏ko10角
19
鎌倉にある石材店、店主の娘・麻衣の数十年、様々な”葬る”…。最初の方での会話、昔は確かにこの考え方があった「人は必ず死ぬ(だから葬式や墓石に関する仕事がなくなることはない)」。でもそこから墓じまいが増え、自動搬送式納骨堂が増え、さらにコロナ禍がありだいぶ弔い方も人の意識も変化があった。自分も散骨にしようかと考えてるので読めてよかった。主人公が初めて散骨をした場面が素晴らしい、それもあとがきを読んで納得。取材と参考文献の数がすごい。2023/11/17
一五
6
上野さんで期待したんだが、この題だし違った。職人の話が好きで…2024/01/26
Jam
4
時代の変化と共に習慣や風習なども変わってゆくものです。近年は少子化や個人のプライバシー等々、誰かと関わる事が希薄になってきつつあったところに厄介な感染症である。葬祭関連、墓地=墓に関しても大きな変化があっただろう。亡くなった方をどう葬るのか、その人がどう生きてきたのか、遺族の人たちの思いを丁寧に聞き親身になって考える墓石店の物語。自分自身の事も考えながら読んでしまった。必ず誰もがむかえる問題ですからね。2023/11/09
りょう
4
お仕事小説のうまい著者なので葬儀業界の話かな、と思って読んだら石屋さんでした。確かにセレモニーではなく考えると墓の問題になるのだなあ、と納得。散骨などにも取り組むようになって、葬るってことを考えます。2023/11/01